研究分担者 |
吉本 道雅 京都大学, 文学部, 助手 (70201069)
杉山 正明 京都女子大学, 文学部, 助教授 (00127094)
小野 和子 三重大学, 人文学部, 教授 (70027530)
夫馬 進 京都大学, 文学部, 助教授 (10093303)
竺沙 雅章 京都大学, 文学部, 教授 (50025029)
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研究概要 |
今日の中国の複雑な民族問題を見ると,清朝時代の民族政策と深い関わりがあることがわかる。清朝の支配民族である満洲族は,清朝一代の間に民族の個性を失って漢化し,同時に他民族に服従を強制し,懐柔もあるが武断もある政策を実行した。その結果,清朝の版図は未曽有の規模に拡大したが,それは今日の少数民族に見られるような民族主義的傾向の遠因をなしている。この総合研究では,清朝治下の少数民族と清朝との関係を,全時代にわたり総合的に解明し,今日の問題の理解に資することを目的としている。この目的のために滿洲班では,特に今年度においては,辛亥革命時期に,滿洲族の社会,風俗,言語,人々の意識がどのように変化したかに焦点を絞ぼって考察を進めた。蒙古班にあっては前年度にひきつづき清朝の対蒙古政策から近年の内蒙古自治運動に至る歴史的経過を考察したほか,清朝の対外政策研究の基礎研究として,元朝と他民族との関係についても考察した。杉山正明は草堂寺闊端太子令旨碑を訳注し,あらたな知見を得ると共に,漢語史,蒙古語史,文書学,石刻学等の諸方面にも有益な材料を提供した。東南アジア班では,神戸輝夫が「鄂爾泰と雲南」『史学論叢』(1990)において,鄂爾泰の6年間にわたる雲南統治期における清朝と雲南少数民族との関係について論じた,小野和子は「明・日和平交渉をめぐる政争」において,朝鮮の役が明の政局にまきおこした政争につて論じている。そして各研究者はそれぞれの研究をふまえ,1990年内に2次にわたり合同して研究会を持ち研究発表をおこなった。これらの研究の成果を平成2年度内に公刊する予定である。
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