研究課題/領域番号 |
63301051
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
好並 隆司 岡山大学, 文学部, 教授 (70032688)
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研究分担者 |
佐藤 智水 岡山大学, 文学部, 助教授 (40116463)
中山 義弘 北九州大学, 外国語学部, 教授 (10047706)
伊原 弘介 静岡大学, 教養部, 教授 (60022109)
石田 米子 岡山大学, 文学部, 教授 (10135923)
寺地 遵 広島大学, 文学部, 教授 (60033487)
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キーワード | 社会史 / 人間集団 / 行動様態 / 秦漢帝国 / 皇帝支配 / 身分制 / 共同体 / 下層民 |
研究概要 |
本総合研究では、社会における上部構造と下部構造とのかかわりを、人間集団のなかの心情的・思想的要素を含めて分析することに主眼をおき、それを中国史の各時代において比較検討し、各時代を一貫する流れを法則的に把えることを目的としている。 本年度は、各研究分担者が以上のようなテーマと問題関心に基づいて個別分野における研究を遂行してきた。 前近代部門では、好並(研究代表者)は『商君書』および雲夢秦簡の日書関係文書を分析して秦漢社会における皇帝権力と人民の関係のあうようを多面的に追求し、寺地は宋代秦檜権力の構造を明らかにしつつ、長年にわたる研究の成果(『南宋初期政治史研究』)を上梓し、新村は四川省における清代郷紳層の内部対立の実態について、伊原は清朝の郷村支配の理念とその具体化について、それぞれ専論を発表した。 近代部門では、笹川が国民党政府の地方支配について、金子が国民党政府による中国統一化の動きと財政の問題について、各々専論を公表した。また、石田は辛亥革命期の革命派知識人と民衆を結びつける媒介項として会党に注目し、浙江辛亥革命の展開を論じながら人民中国成立期の農民運動への展望をみすえる専著を脱稿した。 全体研究会および月例研究会では、好並・石田・吉岡・新村・楠瀬・佐藤がそれぞれ個別研究における考察を発表した。それらの特徴として注目すべき点として、とりわけ新出史料の整理分析が着実に行われていることがある。秦漢時代では竹簡木簡・帛書等における法制から占卜におよぶ新知見があり、六朝隋唐では仏像銘や墓誌等の金石史料よりする王権・貴族制と民衆支配に対する研究の深化があり、近代史では新発表の膨大な新聞・雑誌・書翰等があり、それらの整理分析によって研究の一層の成果が期待されるところにきている。
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