研究課題/領域番号 |
63301066
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
平川 裕弘 東京大学, 教養学部, 教授 (80012368)
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研究分担者 |
川本 皓嗣 東京大学, 教養学部, 教授 (10012478)
田所 光男 福岡大学, 人文学部, 専任講師 (40179734)
牧野 陽子 成城大学, 経済学部, 助教授 (70165687)
土谷 直人 東海大学, 文学部, 助教授 (60147113)
井上 健 京都大学, 教養部, 助教授 (30121867)
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キーワード | 人種 / 文化摩擦 / 他国のイメ-ジ / 日本論 / 劣等感 / 優越感 / 移民 / 文化交流 |
研究概要 |
平成一年は、学問の世界だけでなく論壇の世界でも人種間摩擦の問題が課題を呼んだ年である。平川は『語昌』1989年2月号で「人種間摩擦の時代」を展望し、平川と川本は「文学にあらわれた人種間問題」について本研究グル-プの研究成果を『アステイオン』語1989年夏季号に発表した。海外でもこの種の問題は注目を怠き、『語昌』の論点はTimes Literary Supplenentにも大きく紹介されるにいたった・外国世界がこの種の問題に注意していることは、平川の人種間摩擦に関する論文が日本の主要雑誌のみならず英語、フランス語で印刷発表されることからも察せられるであろう。1989年本研究会会員が中心に発表した「文学にあらわれた人種間摩擦の研究」の英語版はカナダ、ブリテイッシュ・コロンビア大学からProceedingsの形でWalls Within と題されて公刊された。その増補日本語版は『内学子壁』日本人の外国人観、外国人の日本人観』と題されて1990年夏までにはTBSブリタニカ社から大部の論文集が公刊される予定となっており、すでに第一回目の校正にはいっている。 本研究グル-プは日本人の人種認識や偏見を文学作品に探るとともに外国人の対日本人への偏見や認識を調査したため、意外にバランスのとれた見通しが開けてきたことが特色である。日本人はこの種の問題に対してナイ-ブであること、作家の中に日本人の人類的劣等観を利用する者がいること、。日本人の「良心的」な自己卑下に西洋人、中国人の攻撃的な日本人批判が追い討ちをかけると相乗作用を起すが、そのうちに日本人の方が白けた感情になり、問題に背をそむけること、などのパタ-ンも指摘された。
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