研究課題/領域番号 |
63301067
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
稲子 恒夫 名古屋大学, 法学部, 教授 (50022413)
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研究分担者 |
竹森 正孝 東京都立商科短期大学, 教授 (90111062)
小森田 秋夫 東京大学, 社会科学研究所, 助教授 (30103906)
早川 弘道 早稲田大学, 法学部, 教授 (20063802)
新美 治一 福島大学, 行政社会学部, 教授 (20022428)
稲子 宣子 日本福祉大学, 社会福祉学部, 教授 (90085936)
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キーワード | ソ連 / ペレストロイカ / 政治システム / 法治国家 / 憲法 / 選挙 / 大統領 / 新しい法律 |
研究概要 |
本研究は、ソ連で進行中のペレストロイカの法的な側面を総合的に研究することを目的とした。しかし、ソ連での政治の変化は、当初の見込みをはるかにこえていた。すなわち一九八八年の全連邦共産党協議会での政治システム改革の決議、社会主義的法治国家創設の決議など、同年暮のソ連憲法改正、一九八九年のソ連人民代議員選挙、第一回ソ連人民代議員大会、新生のソ連最高会議の発足、夏の大規模な炭坑スト、共和国の自立の動き、民族抗争、同年暮の憲法改正など。社会主義的複数主義は下からの多様な運動を誘発し、人民戦線、政治クラブ、共産党以外の政党、民族文化運動、エコロジ-運動、宗教団体など、ソ連の政治システムに新しい要素が加わった。一九九〇年に入り、ソ連共産党は憲法から同党にかんする規定を削除する方針を決め、さらに三月の憲法改正は大統領制を導入した。ソ連憲法の改正だけでなく、新しい法律の制定が始まっている。一九八九年に憲法裁判法、司法改革法が制定されたし、一九九〇年三月には所有法をはじめとする経済改革法が採択された。つづいて政党法、社会団体法、マスコミ法、宗教団体法、出入国法などの制定が予定されている。 今年度は、このような状況の展開のなかで、ソ連の政治と法にかんする膨大な資料を迅速に集めて分析してきた。同時に、改革がソ連一国にとどまらず、東欧、中国にも関係していることに注目し、中国での民主化運動、天安門事件を焦点に、同国の政治を分析し、さらに東欧諸国の転換を注視し、第一次資料にもとづき、東欧の政治と法を分析してきた。また、政治文献、法律(案)という基本文献の原文を検討し、これらにかんする各種の主張、学説の文脈のなかで分析し、さらに現在の状況を歴史的、社会的な過程のなかで、総合的に研究してきた。 その他、来日のソ連人研究者との意見交換をおこなった。
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