研究課題/領域番号 |
63301076
|
研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
高須賀 義博 一橋大学, 経済研究所, 教授 (70017656)
|
研究分担者 |
野下 保利 国士館大学, 政経学部, 助教授 (10150393)
雨宮 照雄 三重短期大学, 法経科, 助教授 (20151128)
海老塚 明 和歌山大学, 短期大学部, 助教授 (70176783)
鳴瀬 成洋 神奈川大学, 経済学部, 助教授 (20156003)
都留 康 一橋大学, 経済研究所, 助教授 (00155441)
|
キーワード | 資本蓄積 / 利潤圧縮 / フォーディズム / レーガノミックス / 戦後アメリカ経済 |
研究概要 |
本年度は、1970年代以降の資本蓄積の長期停滞をOECD主要諸国に関して分析するための基礎となる研究文献の系統的展望とデータの収集整理に努めた。 1.欧米の政治経済学者による最近の研究の蓄積には注目すべきものがあるが、本研究では、まず、こえらの文献を系統的に収集し文献目録を作成して、書誌情報をデータベース化した。次に、定例研究会をもって文献の系統的紹介と批判を行ない、理論的仮説の構成の準備とした。 2.実証分析が可能なように、本研究に関連する限りでデータを収集しコンピュータ可読型ファイルに入力した。 3.これらの資料とデータを利用したまた定例研究会において専門家の学識を吸収して、本年度は主としてアメリカ経済の実体的部面での資本蓄積の長期停滞の原因と帰結の分析を試みた。その結果、次のようなことが明らかとなった。1970年代初頭以降のアメリカにおける資本蓄積の停滞を生み出した要因として、国内的には、labor accordまたはフォーディズムと特徴づけられる硬直的労使関係が、1960年代末期の過剰蓄積過程で労働費用圧力をもたらし、国際的には、アメリカ経済の国際的環境への編入と世界市場での競争の激化のために、利潤圧縮が発生したという点が重要である。これへの対応として、1980年代に発動されたレーガノミックスは、国内的には、1980年代初頭の引締め政策と規制緩和を通じて、上記のような労使関係の硬直性をほぼ打破することに成功した。しかし、その同じ政策は、国際的には、ドル高による国際競争力の低下と財政赤字の累積の結果としてアメリカを純債務国化に導き、世界経済の不安定性を増幅するという効果をもったことを示した。次年度は、さらにこうした問題の国際的相互連関を解明したいと考える。
|