研究課題
本年度は、前年度のデ-タの解析を行うとともに、サンプルの拡充追加を試みた。まず、デ-タ解析の結果として、企業従業員の帰属意識が、地域移動に大きく影響されていることを示すことができた。これは福岡に本社をもつ大企業の従業員が、帰属に関して花田が示した4つの因子構造が抽出されず、首都圏の企業従業員と福岡の企業従業員の帰属意識構造に差異が存在することを示した。しかし、この差異をさらに追求し、因子数を花田の先行研究と同じ4つに設定すると、花田と同様の帰属意識の構造があらわれる。これから、企業帰属の因子構造は花田と同一の4因子を基本とするのに対して、福岡では転職が現実性を帯びていないため、因子構造がマスキングされ、帰属に関する一般因子と転職について反応した第二因子の二因子構造のみがあらわれたものと解釈される。さらに、進学や親の転勤などで他の地域を経験した従業員は花田の因子構造に近いという結果が示され、地域への帰属が企業への帰属とオ-バ-ラップした時に、極めて強い帰属(古いタイプの)はあらわれるといってよい。この結果をふまえて、本年度はより多くのサンプルを得ることを試みた。とりわけ、より転職の機会が多いと思われる中堅企業の社員が大企業の地方工場の社員をサンプルに追加した。結果は現在解析中である。
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