研究課題
総合研究(A)
地域と職業の関連についての実証的研究は、これまでに非常に少なく、本調査は研究上の空白をうめるものとして大きな成果をあげ得たといってよい。研究の重点を、地域性と企業の帰属意識の関連にあて、花田による企業帰属意識調査を先行研究として実証を行った。福岡に本社を置く大企業7社を対象として1000人に対して調査票を配布し、70%以上の回収率を得た。この結果は、帰属意識に関しては、帰属の一般因子と転職に関する二因子が抽出され、花田の4因子は再現されなかった。しかし、因子数を4と指定した処理結果は、花田の結果と一致し、関東での調査結果が九州の大企業では帰属意識の構造二重性を持つものとして理解することができる。つまり、花田の4因子構造は日本人の企業帰属意識としてかなりの一般性を持つが、転職の可能性が非常に低い九州の大企業では4因子構造が潜在化して、一般因子と転職の因子が表面に出ると考えられる。さらに、調査対象者の中で、進学や就職のための地域移動を経験した者は、地域移動を経験していない層とはかなり異なる意識を持つことが明らかになった。地域を前提として選職行動がなされた結果としての企業帰属と、地域にこだわらない選職行動では企業帰属のあり方が変化することは理解できる。この点を確認するために、学生の選職についての態度を調査した。学生の地域移動(進学を目的とした)の経験が選職行動に影響を与えていることが示された。
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