研究課題
1.現存する洋学者門人帳の収集をはかり、最終的には次の13種である。大槻玄沢(芝蘭堂)、堀内素堂、海上随鴎、小森桃塢(素診館)、土生玄碩(迎翠堂)、水原三折、伊東玄朴(象先堂)、川本幸民(静修堂)、佐藤尚中(順天堂)、緒方洪庵(適塾)、広瀬元恭(時習堂)、大村益次郎(鳩居堂)、松本良順(学習舎)の学塾の門人帳で、門人数は総計3500余名に及んでいる。2.これらの門人帳のうち原本で利用できるものについては、その複写を入手し、活字のものと照合した結果、一部で誤りや脱落があることを見出した。3.比較的デ-タの揃っている適塾の例に基づいてワ-クシ-トを作成し、門人帳のデ-タを整理することにしたが、門人帳そのものには人名、藩・出身地、入門年月日、請人以外の記載事項はほとんどなく、門人個人に係わる基礎デ-タ(年齢、生没年、著作、経歴など)は他の史料から補わねばならない。ただこれらは辞典や書物など関係資料から判明するのは比較的名の知られた人物に限られる。4.こうした基礎デ-タの稀少さとばらつきのため、門人帳のデ-タベ-スの構築にまでは到らなかった。上記の門人帳に載る人名すべての各人について判明したデ-タを入力するにとどまった。ただ適塾については、同記念会の精力的な調査のおかげで、比較的デ-タが整備されているので、これを規格化して入力した。5.門人の基礎デ-タの収集は現地における地道な継続的調査の必要がある。地方在住の研究者、地方史家との連携を密にして研究を進める必要性を痛感した。また儒学・国学などの門人帳との比較、これら学者同士の、流派を問わない、社会的ネットワ-クを究明することの重要性を認識したが、これらは今後の課題としたい。
すべて その他
すべて 文献書誌 (8件)