研究課題/領域番号 |
63301097
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研究機関 | 奈良大学 |
研究代表者 |
水津 一朗 奈良大学, 学長 (40025028)
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研究分担者 |
小方 登 奈良女子大学, 文学部, 助教授 (30160740)
千田 稔 奈良女子大学, 文学部, 教授 (20079403)
藤田 裕嗣 奈良大学, 文学部, 講師 (10181364)
碓井 照子 奈良大学, 文学部, 助教授 (30068829)
野崎 清孝 奈良大学, 文学部, 教授 (30068811)
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キーワード | 地理情報システム / GIS / 地域構成単位 / 大字 / 小字 / 条里 / 農業集落 / 奈良県 |
研究概要 |
昭和63年度に収集した属性デ-タについて、コンピュ-タを用いて地図化するとともに、これらの資料をもとに、各々の専門分野毎に伝統的な地域構成単位の特性やその変容過程について分析した。具体的には、1.地域構成単位形成の基礎と考えられる自然地理学的な諸条件(特に地形と土壌)と考古学的遺跡の分布の検討を行った。2.歴史的領域や所領関係などといった歴史的属性デ-タの分析に努めるとともに、高度経済成長期以前の伝統的な地域構成単位を検討した。3.一方、成長期以降の地域構成単位に関わるものとして、農業集落カ-ドのデ-タを解析した。農業集落は、高度経済成長期以前の地域構成単位とほぼ重なる事例が少なくないと考えられるとともに、小地域毎に属性デ-タが公開されている典型だからである。4.小字、大字といった地域構成単位毎の属性デ-タを整理して、コンピュ-タマッピングを試みた。5.磁気テ-プで提供されているデ-タの利用を勘案して、国税調査区(3の農業集落以外、特に都市化した住宅地区についてのデ-タを含む)など小地域統計デ-タの入力・分析を行い、コンピュ-タマッピングに努めた。6.以上のデ-タとその分析を総合して、奈良県における地理情報システムの構築にアプロ-チした。これらの研究を通じて、欧米を中心に開発が進み、日本では主に地方自治体や企業の業務省力化が目的とされている地理情報システムについて、新たな側面からの構築を奈良県を事例に試みた。すなわち、第一に、近年における地域構成単位の変容に関する一般化も念頭におきながら、日本の実状に即した構築を目指すこと、第二に、地理学的に意味があり、地理学研究のツ-ルとして活用し得るあり方を模索すること、の二つの側面がそれである。今後は、本研究で生じたシステム構築上の様々な問題点を解決するとともに、他県にも及ぼし、わが国全体の地理情報システムの構築にアプロ-チしたい。
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