統計学の数理的基礎と諸分野への応用に関する研究

1988 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 63302006
• 研究機関: 東京大学
• 研究代表者: 広津 千尋 東京大学, 工学部計数工学科, 教授 (60016730)
• 研究分担者: 竹村 彰通 東京大学, 経済学部, 助教授 (10171670) ; 藤井 光昭 東京工業大学, 理学部, 教授 (70016343) ; 柳川 堯 九州大学, 理学部, 助教授 (80029488) ; 渋谷 政昭 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (20146723) ; 影山 三平 広島大学, 学校教育学部, 助教授 (70033892)
• キーワード: 実験計画法として分散分析 / 農事試験 / 非線形・非ガウス平滑化法 / モンテカルロ法 / 医学データ解析 / 時系列漸近分布理論 / 非定常・非線形時系列 / 多変量解析法

研究概要

各分担者は先の研究計画に述べ通り10の研究課題の役割分担に応じて研究を遂行した。本年度はそのうち5課題について全国規模の研究集会を開催し、成果を交換するとともに今後進むべき方向を検討した。
1. 実験計画と分散分析
理論と応用の間に依然として感ぜられる溝を埋めることを主眼に研究を行い次の成果を得た。(1)直交配列、均斉配列、不完備ブロック計画の構成とそれを用いた場合の分散分析法に関する新しい知見。(2)品質工学や、農事試験における空間モデルなど応用分野に則した手法の展開。
2. 数理統計と計算機の接点に関する研究
計算機が身近になり、計算機の能力に強く依存した方法が重要視され始めたことを接点として把え次の研究成果を得た。(1)カルマンフィルタおよび平滑化法を非線形。非ガウスに拡張するための方法論。(2)リサンプリング法やモンテカルロ法に関する新しい知見および応用例の獲得。
3. 医学における統計的諸問題の研究
医学データは個体差が多大、脱落等の不完全データが多い等従来の理論や方法がなじまないことが多い。この特殊性を理論・応用の両面から議論し、2次元生存データ解析を始め新しい方法をいくつか提案した。
4. 時系列データ解析
時系列の理論およびその経済学・歯科医学への応用に関し次の成果を得た。(1)漸近分布理論の精密化。(2)因果関係分析の方法。(3)非定常、非線形時系列へ接近するための新しい方法論の示唆。
5. 多変量解析の理論と応用
回帰分析、分散構造の検定、多次元尺度構成の方法論および医学的診断への多変量解析の応用について新しい知見を得た。
その他についても研究者間の連絡・討議を重ね次年度に備えている。

研究成果

• [文献書誌] Fujikoshi,Yasunori: Journal of Multivariate Analysis. 27. 194-205 (1988)
• [文献書誌] Hirotsu.Chihiro: Ann.Inst.Statist.Math.40. 451-465 (1988)
• [文献書誌] Kageyama,Sanpei: Journal of Sratistical Planning and Inference. (1989)
• [文献書誌] Kageyama,Sanpei: Bulletine of Faculty of Education,Hiroshima university. 11. 47-61 (1988)
• [文献書誌] Kageyama,Sanpei: Sankhya. B,51. (1989)
• [文献書誌] 宮川雅巳: 応用統計学. 17. 69-79 (1988)
• [文献書誌] Ogata,Yoshihiko: Ann.Inst.Statist.Math.(1989)
• [文献書誌] Ohashi,Yasuo: Environmental Health Perspective. (1989)
• [文献書誌] 大橋靖雄: オンコロジア. 22. 5-12 (1989)
• [文献書誌] Sato,Yoshiharu: Statistical Theory and Data Analysis. 2. 385-396 (1988)
• [文献書誌] Sibuya,Massaki: Ann.Inst.Statist.Math.40. 693-714 (1988)
• [文献書誌] 渋谷政昭: コンピュータソウトウェア. (1989)
• [文献書誌] Tanaka,Katsuto: Econometric Theory. 5. (1989)
• [文献書誌] Tanemura,Masami: Journal of Microscopy. 151. 247-255 (1988)
• [文献書誌] Yanagawa,Takashi: Enviromental Health Perspectives. (1989)