研究課題
本総合研究の初年度である本年度は各研究者が個々の研究分野(物質形成方法)において、機能性薄膜や新しい物質の薄膜の形成と特性について研究を行ない、研究者間の相互の情報およびデータ交換を行なうことによって各々の発展を図った。そして、平成元年1月に研究会を開き、各分野において研究した薄膜形成方法とその機構および薄膜の特性に関する結果を発表し、活発に討論を行った。各研究者の材料分野はシリコン系半導体、化合物半導体、有機高分子材料、絶縁物および超伝導膜ダイヤモンド、アモルファス材料の多岐にわたっている。また、その薄膜形成技術も真空蒸着法、スパッタ法、分子線エピタキシ法、気相成長法、液相成長法、固相成長法、励起法 (高周波、直流放電、光、イオン)等、多岐にわたっており、現在までに開発された薄膜成長技術にとどまらず、新しい芽を多く見い出すことができた。例えば励起プロセスの新しい応用と発展および層状積層埋め込み構造への応用を図る見通しを得た。さらに、研究会では個々の薄膜材料を形成する上での成長の特性および問題点が浮き彫りにされ、各分野の先駆的研究者が相互に薄膜形成技術を横断的に検討し、学際的に議論することができた。この結果、様々な機能性薄膜の可能性を考察できる段階に達した。具体的には、金属誘電体、半導体および超伝導体などの原子層積層構造や埋め込み構造によって、さらにそれらと有機材料との複合化によって、様々な特性が期待できる。来年度は本年度学際的に検討し合った成果(データ、新しい方法)を用いて、各々が対象としている機能性薄膜の開発と基礎的知見の集積を行なう。この目的に沿って、薄膜形成技術およびその評価技術の相互交流をさらに図る。