生体機能物質の生合成機構とその応用に関する研究

1988 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 63303003
• 研究機関: 北海道大学
• 研究代表者: 村井 章夫 北海道大学, 理学部, 教授 (20000838)
• 研究分担者: 志津里 芳一 慶応義塾大学, 理工学部, 助教授 (90135294) ; 菅 隆幸 広島大学, 理学部, 教授 (00033811) ; 三川 潮 東京大学, 薬学部, 教授 (60012613) ; 小倉 協三 東北大学, 排水溶液化学研究所, 教授 (80006303) ; 白浜 晴久 北海道大学, 理学部, 教授 (00000802)
• キーワード: グリシノエクレピンA / 生合成 / 生合成推定経路 / 酵素 / 就眠運動 / パリトキシン / 生合成前駆体合成 / 花色素

研究概要

1.大豆シスト線虫ふ化促進物質グリシノエクレピンAのA/Bの環部およびC/D環部をそれぞれ独立に、生合成推定経路によって構築することに成功した(村井)。2.生物活性をもつα-プロトイルデン,チルシフェロールおよびテウリレン等のテルペン類の生合成を規範とした有機合成に成功した(白浜)。3.プレニルトランスフエラーゼ反応における基質のピロリン酸部構造の役割を調べるため、メチレンジホスホネート構造をもつ修飾基質を合成し酵素反応を解析した。ヘキサプレニルニリン酸合成酵素の2つの必須成分の機能と役割を明らかにした。さらにデヒドロドリキルニリン酸を効率よく合成する酵素系および反応条件を確立した(小倉)。4.2,3-オキシドスクワレンは、ステロイド、トリテルペンの骨格を与える閉環酵素の基質であり、両者の生合成分岐点となっている。本年はマメを材料にサイクロアルテノールシクラーゼとβ-アミリンシクラーゼの完全精製に成功した(三川)。5.ポリプレニルニリン酸合成酵素は、従来ファルネシルニリン酸合成酵素と分離困難とされていたが、疎水性クロマトグラフィートによってこれらを分離することに成功し、粗酵素から約50倍に精製できた(菅)。6.就眠運動を行なうマメ科植物から、葉を閉じさせる活性物質と葉を開かせる活性物質を単離し、構造決定することに成功した。このことは就眠物質の植物内での生合成研究の糸口となろう(志津里)。7.その他アミジグサ科褐藻から単離されたゼニカン類の生合成経路を明らかにし(柿澤)、腔腸動物毒パリトキシンの生合成前駆体であるパリトキシンカルボン酸の生体内における存在の証明(上村)、脂肪酸合成酵素と抗生物質セルレニンの作用機構の解明(川口)、アブラナ科植物の産生する含硫フイトアレキシンの生合成(高杉)、生合成研究に有用な前駆体の合成(柿沼、野老山、香月、槇、平間、丹羽、富士)に成功した。チョウマメの青色アントシアニンは、現在精製中である(後藤)。

研究成果

• [文献書誌] M.Hashimoto.: Tetrahedron Letters. 29. 5947-5948 (1988)
• [文献書誌] M.Hashimoto.: Tetranhedron Letters. 29. 1143-1144 (1988)
• [文献書誌] M.Hashimoto.: Chemistry Letters. 645-646 (1988)
• [文献書誌] T.Koyama.: Phytochemistry. 27. 2005-2009 (1988)
• [文献書誌] T.Koyama.: JOURNAL OF Biochemistry. 103. 867-871 (1988)
• [文献書誌] T.Koyama.: Tetrahedron Letters. 29. 3807-3810 (1988)
• [文献書誌] T.Gotoh.: Biochem. Biophys. Res. Commun.156. 396-402 (1988)
• [文献書誌] I.Yoshida.: Biochim. Biophys. Acta.
• [文献書誌] H.Sagami.: Biochim. Biophys. Acta.
• [文献書誌] T.Ohta.: Tetrahedron Letters. 29. 4303-4304 (1988)
• [文献書誌] T.Ohta.: Tetrahedron Letters. 29. 4305-4308 (1988)
• [文献書誌] I.Shimada.: Compt. Physiol.,part A.
• [文献書誌] I.Ohtani.: Tetrahedron Letters.
• [文献書誌] I.Abe.: Chem. Pharm. Bull.36. 5031-5034 (1988)
• [文献書誌] H.Funabashi.: Journal of Biochemistry.
• [文献書誌] Y.Shizuri.: Tetrahedron Letters. 29. 1971-1974 (1988)
• [文献書誌] Y.Shizuri.: Chemistry Letters. 1419-1422 (1988)
• [文献書誌] Y.Shizuri.: Chemistry Letters. 113-116 (1989)
• [文献書誌] I.Muramatsu.: Br.J.Pharmacol.93. 811-816 (1988)
• [文献書誌] H.Ishihara.: Journal of Biological Chemistry.
• [文献書誌] H.Niwa.: Tetrahedron Letters. 29. 5139-5142 (1988)
• [文献書誌] H.Niwa.: Bull.Chem.Soc.Jpn.61. 3017-3019 (1988)
• [文献書誌] F.Toda.: Chemistry Letters. 131-134 (1988)
• [文献書誌] M.Ochiai.: J.Chem.Soc.,Chem.Commun.1076-1077 (1988)
• [文献書誌] M.Ochiai.: J.Org.Chem.53. 6144-6145 (1988)
• [文献書誌] T.Suga.: Chemistry Letters. 115-118 (1988)
• [文献書誌] T.Suga.: 日本化学雑誌. 629-634 (1988)
• [文献書誌] A.Murai.: J.Am.Chem.Soc.110. 1985-1986 (1988)
• [文献書誌] T.Kondo.: Agric.Biol.Chem.
• [文献書誌] Y.Shizuri.: "植物の化学調節" 植物化学調節学会, 32-44 (1988)
• [文献書誌] T.Goto.: "有機合成化学協会誌" 有機合成化学協会, 426-435 (1988)
• [文献書誌] T.Suga.: "有機合成化学協会誌" 有機合成化学協会, 12-21 (1988)