研究課題/領域番号 |
63304002
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
高橋 正征 東京大学, 理学部・植物学教室, 助教授 (50111357)
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研究分担者 |
和田 英太郎 三菱化成生命科学研究所, 室長
浜 健夫 名古屋大学, 水圏科学研究所, 助手 (30156385)
猪川 倫好 筑波大学, 生物科学系, 教授 (50015541)
原 慶明 筑波大学, 生物科学系, 助教授 (60111358)
加藤 憲二 信州大学, 医療短期大学部, 助教授 (70169499)
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キーワード | 基礎生産 / 藻類 / 増殖 / 代謝 / 光 / 栄養物質 |
研究概要 |
自然水域での藻類の生命現象を、基本的に重要な代謝過程と増殖過程に着目して把え、それぞれの過程で重要な役割を果していると考えられる素過程を各研究者が分担して研究した。研究材料には増殖特性の異なった複数の藻類株が必要で、そのために海洋と淡水の様々な水域から緑藻、プラシノ藻、ハプト藻、渦鞭毛藻、ミドリムシ藻、珪藻、紅藻、藍藻を多数株単離し、それぞれの増殖特性を検討し、中から珪藻、単細胞藍藻、ハプト藻を実験候補株として選び出した。 重要素過程の研究では適当な実験方法のまだ確立していないものがあり、それらについては以下のように方法を検討した。混合群集中の特定個体群の増殖速度推定法として、分裂細胞の出現頻度情報を用いる方法の工夫。培養用人工海水の調整では、pH緩衝系の安定性の重要性を発見し、簡単で失敗のない人工海水調整法を工夫。増殖と代謝活性に密接に関与する細胞内成分としてDNA、ATPの微量測定法の検討、単糖類、アミノ酸、脂肪酸の細胞レベル濃度の測定法の工夫と、生育環境変動に伴った代謝産物の量と質の変動のチェック。また藻類の生産物の一部は細胞外に漏洩してしまうことが知られており、漏洩量、漏洩物質成分の同定法の検討を行った。 単離株を用いた実験によって、黒潮域の亜表層の青色弱光環境下に出現する単細胞藍藻が色素、光科学系組成では白色弱光下で生育した細胞と大差なく、青色弱光下ではPSI、PSII回転のバランスがとれているが、収率は白色光下の40〜45%に低下し、それがカロチノイドの吸収によることを明らかにした。栄養環境が短時間変動すると水域での栄養細胞と休眠胞子形成をくり返しながら個体群維持をはかっている珪藻の生活史戦略を実験的に証明した。
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