研究課題/領域番号 |
63304019
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
森田 学 京都大学, 農学部, 教授 (10026388)
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研究分担者 |
井口 隆史 島根大学, 農学部, 教授 (70032604)
北川 泉 島根大学, 農学部, 教授 (60032546)
渡辺 弘之 京都大学, 農学部, 助教授 (90026633)
岩井 吉称 京都大学, 農学部, 助教授 (40093190)
有木 純善 京都大学, 農学部, 教授 (20026389)
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キーワード | 伐境 / 伐境フロンティア / 日本林業発展 / 産地化 / 地域林業の組織化 / 木材市場の完全化 |
研究概要 |
昭和63年度に行った現地調査の分析結果を基に、各分担者は問題点を整理したうえで研究対象地域の補充調査を実施して、分担テ-マの論理構築を行った。そして、平成元年6月3・4日に京都市で全員による最終検討会を開催し、研究全体の論理構築とその整合性の点検を行い、さらに、提出された各分担者の論理が全体の論理の中でどのように位置づけられるかを検討した。この検討の結果をふまえて、各研究者は取りまとめを行い、平成2年2月に研究成果を「日本林業の市場問題」の書名で出版した。本研究で得られた主たる知見は以下の通りである。 1.戦後のわが国における林業構造の変化を、伐境(立木伐採の採算限界地点)の変動という視点からみると、4回の変動があったことが明らかになった。この本来の伐境の外側に伐境フロンティアと呼ぶべき新たな伐境が政策の支援などによって形成され、これが現在の国際的な木材価格水準を規定し、また、これが伐境地域の森林の再生を不能とさせ、環境破壊を引起す根拠になっていることがわかった。 2.わが国の高地価のため、住宅用材は低価格で均質・規格・安定性をもつ木材が強く要求されているが、最近の北米における製材業構造の変化とその供給圧などによりその要求は更に強められている。これは一面において日本林業の競争力を強めるためによい影響を与えているが、他面では森林、とくにフロンティアでのそれの再生を妨げ、地力を収奪し、環境の荒廃を進める関係をつくりあげていることが明らかとなった。3.上述の森林・環境の荒廃を防ぎ日本林業を発展させるには、国際競争力を高める市場合理化としての産地化と、森林・環境の荒廃を引き起す国際関係の変革につながる地域の自立化・林業組織化(地域経済の自己完結と同時に、主体的に外部との流通を図る)が必要なことを示した。
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