研究課題
木材・木質材料の加工および材料評価へのAEの応用に関する既往の研究成果について研究代表者を中心に研究組織全体で調査・分析し、各研究分担者が実施する実験内容の企画および相互調整を行った。それに基づいて各分担者が行った研究の主要な成果を以下に示す。1.MDI添加量の異なるEVAエマルジョンを接着剤としたパーティクルボードの曲げ試験時のAE計測から、MDI添加量が多くなると同一荷重に対するたわみが小さくなるとともに、たわみが小さいときのAE発生数が少なくなることが明らかになった。2.スギ板材の乾燥中に発生するAEを2個(板面の木口近くと中央に設置)のセンサで計測した結果、AE発生源は試料の木口側から中央部へ除々に移動すること、一つのセンサがAE発生を監視できる範囲はかなり狭いこと、カップ量の変化とAE事象率の変化が比較的よく対応することなどが分かった。3.生材小試片を用いた乾燥実験から、AEは生材の乾燥中のみならず、乾燥後に吸水させた試料の乾燥中にも同様に発生すること、接線方向の収縮を拘束して乾燥してもAE発生はほとんど変化せず、巨視的な割れに関係するAEの割合はきわめて少ないことなどが明らかになった。4.木材に対するシロアリの食害行動がそのときに発生するAEによって探知できるかどうかを検討するため、二三の実験を行った。その結果、実際に木材がシロアリによって食害されているときにのみ、その食害部位からAEが発生することが確認された。5.手すき紙の引張過程におけるAEの発生源を4個のセンサを用いて二次元位置標定することを試みた結果、未叩解の試片では試片全体からAEが発生する傾向を示すこと、叩解した試片ではAEの発生位置が最終破断線の付近に集中する傾向を示すことなどが明らかになった。