リンパ管の微細構造と微細分布

1988 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 63304029
• 研究機関: 東京医科大学
• 研究代表者: 内野 滋雄 東京医科大学, 医学部, 教授 (00074500)
• 研究分担者: 加藤 征治 大分医科大学, 医学部, 助教授 (60034956) ; 三好 萬佐行 福岡大学, 医学部, 教授 (80077536) ; 鈎 スミ子 大阪医科大学, 医学部, 教授 (50084801) ; 藤田 恒夫 新潟大学, 医学部, 教授 (00032863) ; 小谷 正彦 熊本大学, 医学部, 教授 (20025521)
• キーワード: リンパ管の微細構造 / リンパ管の微細分布 / リンパ管内皮特異的モノクローナル抗体 / リンパ浸潤 / リンパの輸送調節 / リンパ細網関門 / リンパ管の三次元的微細分布 / リンパ管の起始部

研究概要

次のような新たな知見、成果を得た。1.リンパ管内皮特異的モノクローナル抗体の作成を試みたが、まだ血管内皮とリンパ管内皮を染色区別できず、さらに検索を進めなければならない。2.NODマウスを光顕・電顕で調べ、リンパ浸潤の進行とともに毛細リンパ管が発達して来ること、リンパ球は小血管から組織に遊出し、リンパ管に収容されてリサイクルしていくことを明確にした。3.リンパの輸送を調節する可能性のある因子に関して免疫電顕法により検索を進めてきた結果、生理活性物質ならびにニューロペプタイドY、サブスタンスP陽性終末がリンパ管内皮細胞内および近傍にそれぞれ存在することが判明した。4.リンパ細網関門の構造は動物種によって違いがあり、ヒト虫垂では細網腔とリンパ洞は洞内皮で境され、ウサギでは、細網細胞層と洞内皮細胞層に挟まれていることがわかった。5.各種動物の心臓と胸腺について透過電顕観察等を行ない新しい知見を得た。心臓のリンパ管はすべての弁尖に広く分布しており、房室束においては顕著であった。胸腺の毛細リンパ管は不規則な管腔として認められ、リンパ管壁においては活発なリンパ球の移動がみられる。6.鋳型・走査電顕法によって、消化管、特に小腸、虫垂、大腸のリンパ管の三次元的微細分布が明らかになり、パイエル板や虫垂では、リンパ管や血管を容れるコラーゲン線維鞘が明瞭に示された。7.腱索における毛細リンパ管の起始部を明らかにした結果、これまでの毛細リンパ管の起始部の報告とはかなり異なり、先端部に向かって次第にリンパ管の内腔は減少し、また内皮細胞間の結合面が次第に広くなり、ついには内腔が消失し、また内皮細胞のみが相対した結合面を残して、細い突起状になって盲端で終っていた。8.KOH-コラゲナーゼ組識消化法により小腸内の結合組織線維成分が選択的に溶かされて、リンパ管や血管、平滑筋などが明瞭に観察できるようになった。

研究成果

• [文献書誌] S.Magari: Lymphology. 21. 93-98 (1988)
• [文献書誌] Y.Ito: Lymphology.
• [文献書誌] S.Magari: Lymphology.
• [文献書誌] N.Inoue: Brain research.
• [文献書誌] K.Uehars: Cel Tissue Research. 251. 547-553 (1988)
• [文献書誌] M.Miyoshi: Arch.Histol.Cytol.
• [文献書誌] K.Ogawa: J.Ultrastr.Res.
• [文献書誌] S.Kato: Okajimas Folia Anatomica Japonica. 65. (1988)
• [文献書誌] O.Ohtani: Arch.Histol.Cytol.
• [文献書誌] O.Ohtani: Arch.Histol.Cytol.
• [文献書誌] S.ichikawa: Lymphology.
• [文献書誌] 牛木辰男: 医生物走査電顕. 17. 73-75 (1988)
• [文献書誌] H.Takahashi-Iwanaga: "Biopathology of the Liver, An Ultrastural Approach." Kluwer Academic Publishers., 59-68 (1988)
• [文献書誌] H.Takahashi-Iwanaga: "P.M.Motta(ed.);Cells and Tissues, A Three-Dimensional Approach by Modern Techniques in Microscopy." Alan R,Liss, Inc., 10 (1989)