研究課題/領域番号 |
63304030
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
富田 忠雄 名古屋大学, 医学部, 教授 (50078763)
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研究分担者 |
山岸 俊一 岡崎国立共同研究機構生理学研究所, 教授 (70014032)
野間 昭典 九州大学, 医学部, 教授 (00132738)
久場 健司 佐賀医科大学, 医学部, 教授 (60080561)
赤須 崇 久留米大学, 医学部, 教授 (60113213)
赤池 紀生 東北大学, 医学部, 教授 (30040182)
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キーワード | イオンチャネル / チャネルゲ-ト機構 / 受容体 / 細胞シグナル / セカンドメッセンジャ- / Ca流入 / 細胞内Ca / 神経分化 |
研究概要 |
細胞が情報を受け取る場合、細胞膜でのイオンの透過性の変化が重要な役割を演じている。本研究ではいろんな細胞を用いて、電気生理学的手法を中心としながらも、違った見地から調べた。細胞膜における活動電位の発生には膜電位の変化によって開閉が制御されているNaやKイオンのチャネル(電位制御のチャネル)が関与しているが、Naチャネルの制御蛋白にはグアニジニウム基やクモ毒分子と反応する部位があり、また脂肪酸などの作用からチャネル蛋白の機能には膜脂質の流動性などの蛋白周囲の物理的性質が大きく影響するという結果が得られた。細胞の種類によって、KイオンやCaイオンを選択的に通すチャネルの性質やそれらの分布にかなりな差があることが明らかになり、特に膜電位以外に細胞内CaやATPによって制御されるKチャネルの性質が明らかにされてきている。血管平滑筋には細胞外のCaやMgイオンによって開くKチャネルの存在が示唆された。細胞内Caイオン濃度の上昇は膜のいろんなチャネルの活動へ影響を与え、酵素系の活性化を引き起こし、さらに神経における伝達物質の放出や筋における収縮などにとって重要な過程である。神経節細胞では膜の脱分極によって、Caチャネルを介した細胞外からの流入だけでなく細胞内貯蔵部からの放出で細胞内Ca濃度の上昇が起こることが確かめられた。一方、伝達物質やホルモンと反応する受容体を介して制御されているイオンチャネル(受容体制御のチャネル)は特に自律神経系における情報受容に重要な役割を演じ、この制御過程には細胞内のCa、サイクリックAMPやGMPなどが関与しているという結果が得られている。これらは代謝系を介し時間経過の長い影響を与えることも考えられる。神経細胞には細胞内Caにより活性化されるClチャネルが存在するが、ニコチンやGABAの受容体を介するClチャネルは逆にCaによって抑制される。発生の過程におけるチャネル出現過程の分析も進んでいる。
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