研究分担者 |
渋谷 治男 東京医科歯科大学, 医学部, 講師 (10158959)
小山 司 北海道大学, 医学部, 助教授 (10113557)
野村 総一郎 藤田学園保健衛生大学, 医学部, 助教授 (80113091)
朝倉 幹雄 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教授 (70103504)
三国 雅彦 国立精神, 神経センター神経研究所, 室長 (00125353)
|
研究概要 |
本年度は昨年度の成果に加えて,更に次のような新たな研究成果が得られた。 1.5ーHTー1C受容体を介する血中コルチコステロン濃度増加反応に対する抗うつ薬の作用を検討し,抗うつ薬の一部は5ーHTー1C受容体抑制能を有することが明らかとなった。 2.抗うつ薬の慢性投与は5ーHTー1A受容体数を増加させるが,8ーOHーDPATによる低体温反応に対する抗うつ薬の慢性投与の効果について検討した結果からは,機能面では5ーHTー1A受容体を介する機能を変化させないことが明らかとなった。 3.抗うつ薬の慢性投与によりラット大脳皮質および海馬のP_1分画において,Ca^<++>存在下でリン脂質濃度依存的にリン酸化する分子量47000の蛋白質が増加することを明らかにした。この結果は抗うつ薬の投与によりβ受容体ーアデニル酸シクラ-ゼ系,PI系の脱感作に関与する蛋白合成の転写に関連する可能性を示唆するものである。 4.前年度に引き続き,うつ病患者血小板のセロトニン刺激によるCa^<++>増加反応を検討した結果,独立に検討した3つの施設の結果は一致してうつ病ではこの反応が亢進していることが確認された。この結果は,うつ病のセロトニン受容体過感受性仮説を指示するものである。 5.種々の抗うつ薬慢性投与により,脳内のソマトスタチンが減少することが明らかとなった。また,気分安定薬にも同様の作用があることがわかった。気分安定薬の作用機序は全く解明されていない。前年度のアミノ酸受容体の研究に加えて,ソマトスタチンなどの神経ペプチドの研究も機序解明の端緒を開くものと期待される。 平成2年度は5月に報告会を行い,研究成果をproceedingsとしてJ.J.P.N.に掲載した。また,本総合研究の研究成果はその一部を『躁うつ病の薬理・生化学』(I)として出版したが,現在その(II)を準備中である。
|