研究概要 |
I.血栓の形成と溶解機序に関する研究:ハブ毒由来の出血性(HR2a,HR1B)と非出血性因子(H2-プロテア-ゼ)を精製し、構造解析を行った(岩永)。線溶系関連因子としてuPA,tPA,PAI-1の内皮細胞培養系における免疫組織化学的局在を解析し、それら因子の局在と機能発現との関連を明らかにした(居石)。血小板酵素異常症の1つとしてシクロオキシゲナ-ゼのアセチル化部位に異常を来たしている症例を見出し、蛋白ならびに酵素化学的に原因を検索した(山本)。カルフォビンディン関連因子の構造解析を行い、組織内局在と関連して作用機序を究明した(真木)。トロンボモジュリン組み換え体を用いてプロテインC結合ドメインを明らかにした(鈴木)。血管内皮細胞に与えるトロンビンの作用の1つに、グリコサミノグリカンのコア蛋白への糖鎖結合を減少させる作用があることを明らかにした(桜川)。単球に与えるFDPの影響を検討して、D-dimerには特異的なPAI-2,IL-1α,βuPA産生、分泌促進作用があることを明らかにした(斎藤)。内皮細胞の酸化剤による傷害作用を検討して、β-VLDL、マクロファ-ジ破砕物には酸化作用による傷害効果があることを明らかにした(住吉)。フィブリノゲンのD画分に1本鎖tPAの活性増強効果があることを明らかにした(高田)。トロンビン刺激により血小板α顆粒膜上のGPIIIa/IIbは細胞膜上に移動しフィブリノゲン受容体として凝集に関与することを明らかにした(山崎)。 II.血栓症の病態、診断に関する研究:血小板由来fibronectinは、血小板凝集時にフィブリノゲンと競合して凝集の抑制を示すことを明らかにした(松田)。血中トロンボモジュリンの測定は、各種病態における内皮細胞障害の示標となりうることを明らかにした(青木)。血栓症の治療法の1つとしてアスピリン、チクロピジンの投与目標の解析(柴田)、腎炎患者での凝固因子の動態解析を行った(前川)。
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