研究課題
総合研究(A)
瀬戸内海を尾道〜今治間の因島を中心とする島群によって東西に2分し、研究を実施してきたが、その結果、次のような事実が判明した。1.日中両国をつなぐ水路考察の上で、重要な役割を果す海岸段丘は沿岸に沢して十分には発達しておらず、また海底の水没地形も把握することは容易ではない。2.上の欠陥を補うために、海底の堆積物をボ-リングにより採取・分析することが不可欠となった。特に曽ての陸地面である証拠となる象化石の産出層準を明らかにすることが、日中間の水路の時代をきめる決め手となるに違いなく、この海底ボ-リングの実施は平成2年度の総合研究Aが採択されれば実施に移す考えである。3.今回の総合研究Aにおいて特記すべき成果は山口県、徳佐盆地のコア分析である。詳細は添付の成果報告書に見られる通りであるが、数10万年間の古気候記録を有している徳佐堆積物によって瀬戸内海西部の気候史、そしてやがては海面変化史が明らかとなる見込みがたてられた。海面変化史は日・中間の古期の陸橋存否を解明する上で不可欠であり、各種の研究成果を総合して組みたてることを試みつつあるが、その作業の上で、地理的位置からみても、また時代的見地からみても、徳佐の堆積物コア分析は日本の古陸水学 自然地理学 生物地理学 第四紀学の発展の上で重要な貢献をするものと期待される。
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