研究課題/領域番号 |
63410009
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
潮見 浩 広島大学, 文学部, 教授 (30033476)
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研究分担者 |
藤野 次史 広島大学, 文学部, 助手 (20144800)
中越 利夫 広島大学, 文学部, 助手 (80144799)
古瀬 清秀 広島大学, 文学部, 助手 (70136018)
河瀬 正利 広島大学, 文学部, 講師 (30093743)
川越 哲志 広島大学, 文学部, 助教授 (20033491)
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キーワード | 鉄関係遺跡 / 出土鉄器 / 製鉄遺跡 / 製鉄炉地下構造施設 / 鉄精錬 / 鉄滓 |
研究概要 |
本年度における研究は、下記の3項目にわたって実施された。 1.鉄関係遺跡の集成・出土鉄器類の集成について、主として日本関係に絞ってカ-ドによる集成作業を行った。これによって、鉄関係遺跡約150枚、出土鉄器約4000枚のカ-ドが集成できた。弥生時代、古墳時代、奈良〜平安時代について、時期的、地域的に体系的な集成を試みており、一見、複雑にみえる出土鉄器類もかなり類型化できる手がかりを得ている。現在、これらの資料カ-ドをコンピュ-タでデ-タベ-ス化する作業を具体化するための検討を開始している。 2.鉄関係遺跡の解明では、製鉄遺跡の全容が把握できる考古学的発掘調査を島根県内で2遺跡(邑智郡瑞穂町下稲迫製鉄遺跡・清造山製鉄遺跡)について実施した。これまでにわが国では、製鉄遺跡は古墳時代後期ー古代ー近世の例が時代を追う形で、それぞれ知られていたが、古代と近世をつなぐ中世の例についてはほとんど知られていなかった。ところが、今回の調査で前記2遺跡がともに中世に属し、しかも遺構の在り方から、中世の中における新旧の時期差を知りうることができるものであった。この遺構は製鉄炉の防湿施設で、製鉄炉地下構造施設と呼ばれるものであるが、中世の事例が明らかになり、わが国で鉄生産の開始された古墳時代から完成期の江戸時代まで、時代を追って一連の技術的変遷をたどることができ、わが国における鉄生産の実態にかなり迫りえたといえる。引き続き、これらの製鉄遺跡で生産された鉄原材を精錬加工する鉄精錬(大鍛冶、小鍛冶)遺跡についての基礎調査を開始している。 3.今回の発掘調査で出土した鉄滓は、日立金属株式会社安来工場研究所において分析中であり、近くその成果の一部が提出される予定である。
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