研究課題/領域番号 |
63420004
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
湯田 利典 東京大学, 宇宙線研究所, 教授 (60092368)
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研究分担者 |
坂田 通徳 甲南大学, 理学部, 教授 (60068111)
笠原 克昌 東京大学, 宇宙線研究所, 助手 (00013425)
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キーワード | 中国チベット自治区 / 羊八井 / 空気シャワ- / エマルションチェンバ- / 白鳥座Xー3 / 一次宇宙線 / 加速 / 光レ-ザ |
研究概要 |
中国と共同で中国チベット自治区羊八井(標高4300m)に空気シャワ-装置とエマルション・チェンバ-の複合観測装置を建設する計画を進めている。主な研究目的は、1)白鳥座Xー3等宇宙天体からの超高エネルギ-・ガンマ-線の観測、2)10^<15>ー10^<16>eV領域での一次宇宙線特に陽子のエネルギ-スペクトルの測定と組成の研究、3)10^<16>eV領域での核相互作用の研究、である。特に1)と2)は超高エネルギ-宇宙線の加速と伝播の機構を考えるときの基礎デ-タとなる。本科研費では主として空気シャワ-装置の部分を建設し当面宇宙ガンマ-線の観測を行う予定である。この為、空気シャワ-粒子の到来方向及びそのサイズを精度良く測定するために、シンチレ-ション検出器49台及び回路系の製作、調整を行った。当初はこれを7月下旬までに現地羊八井に運び装置の組立、調整の後10月から観測を開始する予定であった。しかし,昨年6月の中国情勢の急変により計画は大幅に遅れた。結局10月上旬に日本から船で発送し、真冬の12月から1月にかけて建設を行い8割ほど終了した。現在装置の稼働状況を見るためにテストデ-タをとっているが正常に稼働してる。本格的な観測は気候の良くなる6月に開始する予定である。装置の概要は面積0.5m^2の検出器49台を15m間隔の碁盤目状に配置したものでマイコンPC98でシステム制御及びデ-タの取得を行っている。回路系を一部改良し、測定器全体のタイムジッタ-を約0.7nsに抑えることが出来た。これと羊八井高度の利点を考慮すると100TeVのガンマ-線の到来方向を0.5より良い精度で決めることができるものと期待される。また、この装置では光レ-ザを使い各検出器のレスポンスを常時モニタ-し、測定デ-タの信頼度をより高めるよう工夫されている。日本側は主として観測装置を準備し、中国側は土地、実験室、電源、測定器用架台等を調達した。100TeV領域の宇宙ガンマ-線にたいして世界で最も質の良いデ-タが得られるものと期待されている。
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