研究概要 |
超新星残骸や活動銀河核等からの弱い硬X線やガンマ線を検出するための低バックグランドの検出器の開発を行った。検出器は新たに開発されたGSO結晶を主検出部に、CsI結晶をシ-ルド部に用いた井戸型フオスウイッチカウンタをユニットとして組合わせた面積700cm^2,開口部60mstrの大面積検出器である。1ユニットを光電子増倍管で読み込み、結晶中の螢光減衰時間の違いを電子回路によって分離することで、主検出部でガンマ線がエネルギ-を失ったイベントのみを取り出す事が出来る。又,主検出部を井戸型に加工したシ-ルド部に埋め込む事により、シ-ルドはアクティブなコリメ-タをかね、開口角を狭くする事が出来て、よりバックグランドを減らす事が出来る。地上における試験実験の結果、検出器は40KeVから700KeVに感度を持ち、^<57>Coの122KeV線スペクトルで1×10^<-4>cm^<-2>s^<-1>程度の信号が検出可能である。連続スペクトルの観測では従来の検出器に比べ5倍以上感度があがり、5×10^<-6>cm^<-2>s^<-1>KeV^<-1>の信号を10^4秒観測を行う事で検出する事が出来る。またこれらの検出器のデ-タは気球塔載用に開発を続けているVMEをもとにした計算機システムでよみこまれる。 観測実験は、平成元年11月から12月にかけておこなわれた。天候不順のため計画されていた3回の放球を行う事が出来ず、また行われた1回の実験では残念ながら検出器からのデ-タを取得する部分に不調が生じ、天体からのガンマ線を観測する事が出来なかった。しかし,安定な飛揚のために開発された方向規制およびスタ-カメラシステムは正常に動作し、様々な補助デ-タの結果などから今後の改良にとって有益な知見が得られた。
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