研究課題/領域番号 |
63420007
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
酒井 英行 東京大学, 理学部, 助教授 (90030030)
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研究分担者 |
野呂 哲夫 大阪大学, 核物理研究センター, 助手 (30164750)
市村 宗武 東京大学, 教養学部, 教授 (10012436)
下浦 享 東京大学, 理学部, 助手 (10170995)
高田 栄一 東京大学, 理学部, 助手 (70197101)
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キーワード | 偏極移行量 / 原子核スピン応答 / 中性子ポラリメ-タ / 二次元位置感知中性子検出器 / パイ中間子場 |
研究概要 |
アイソベクトル励起をする(p,n)反応による準弾性散乱領域の全偏極移行量を測定し、原子核の縦および横スピン応答関数を求め核内パイ中間子場による引力相関の増加や短距離相関について情報を得る。この目的のためには高い精度で全偏極移行量を測定することが必要であるが,我々は新方式による高効率且つ廉価な二次元位置感知中性子検出器を用いた中性子ポラリメ-タ・システムを建設しこれを実現する。 今年度でその中核となる二次元位置感知中性子検出器(100cm×100cm×10cm)三台の設計製作を終えた。またこれらの検出器の組合せで作る中性子ポラリメ-タに入射ならびに反跳された荷電粒子の除去のためのプラスチックシンチレ-タ検出器を製作した。これによりハ-ドの部分についてはほぼ80%の建設を終えることが出来た。 本研究計画で、最も重要な部分の二次元位置感知中性子検出器(液体シンチレ-タを使ったもの二台プラスチックシンチレ-タを使ったもの一台)については、その諸性能を60MeVの高速中性子ビ-ムを使って調べた。現時点では予備的解析が終わった階段であるが位置決定精度は、液体シンチレ-タを使ったものについては中心部分で約10cm周辺部分で約12cmであり、プラスチックシンチレ-タを使ったものについては中心部分で約5cm周辺部分で11cmであった。この値は当初の予想より1.5ー2倍程悪いことが明かになった。その原因はモンテカルロ法を使ったシュミレ-シオンに比べてシンチレ-ション光のシンチレ-タ表面での反射効率が予想以上に悪く減衰が大きくなっていることによると考えられる。4隅に配置した光電子増倍管以外に左右の縁の中間点にも光電子増倍管を増設して周辺でのシンチレ-ション光の集光効率を根本的に改良することを試みている。また位置を求めるのにはシンチレ-ション光が4隅に配置された光電子増倍管に到着する時間を使っているが、そのアルゴリズムは一義的ではない(redundancyがある)ので最も適した方法も現在さがしている。
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