研究分担者 |
森 多美子 東京大学, 物性研究所, 教務職員 (70174373)
木下 豊彦 東京大学, 物性研究所, 助手 (60202040)
石井 武比古 東京大学, 物性研究所, 教授 (00004284)
谷口 雅樹 広島大学, 理学部, 助教授 (10126120)
曽田 一雄 東京大学, 物性研究所, 助手 (70154705)
|
研究概要 |
本研究の目的は,シンクロトロン放射の持つ,高輝度,光子エネルギー可変性,偏光などの特長を利用して,光電子分光スペクトル,イオン収量スペクトル,光吸収スペクトルの測定,解析をすることにより,現在未開拓のマイクロクラスター,表面吸着原子などの超微細な物質系の電子構造を解明することである。 研究最終年度にあたる本年は,従来よりも高輝度なシンクロトロン放射光源といわれているアンジュレータ放射を利用して,シリコン表面上に吸着した分子,マイクロクラスターの光電子分光,光刺激脱離実験を行うことを計画した。また,四康極質量分析器では測定することの困難な大きい質量数をもつマイクロクラスターの質量分析実験を行うために飛行時間型質量分析器を準備することにした。 このうち,シリコン表面上に吸着した物質系については,高エネルギー物理学研究所に設置されている表面界面光電子分光実験装置による予備実験により,吸着物質の電子状態が従来のヘリウム放電管を使用するのにくらべて,シンクロトロン放射を使用することにより,格段にすぐれた精度で測定できることがあきらかになった。これについては平成3年4月の日本物理学会年会で一部を報告する。一方,アンジュレータ放射の利用については,既に製作した質量分析装置をフォトンファクトリーBL19Aのリボルバ-型アンジュレータに接続し,アンジュレータ放射による性能試験と予備実験を行った。その結果,アンジュレータ放射が,通常のシンクロトロン放射にくらべて約300倍の光量があり,本研究が目的としている物質系の電子構造の解明にはアンジュレータ放射が不可欠であることがわかった。アンジュレータ放射に関する結果は,昨年10月米国スタンフォード大学でのワークショップで報告した。
|