研究課題/領域番号 |
63420010
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
新庄 輝也 京都大学, 化学研究所, 教授 (70027043)
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研究分担者 |
細糸 信好 京都大学, 化学研究所, 助手 (30165550)
中山 則昭 京都大学, 化学研究所, 教授 (00164369)
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キーワード | 人工格子 / 超伝導 / La_2CuO_4 / メスバウア-効果 / 磁気秩序 |
研究概要 |
超高真空蒸着装置と連結した酸化処理室が完成したので酸化物超伝導体、酸化物磁性体および金属磁性体の生成が可能になり、これらを複合化した人工格子を生成するための作成条件の検討を進めている。現在、La_2CuO_4を出発物とする超伝導薄膜を試作しており、非超伝導層を積層して二次元化の効果を調べる予定である。Cu層を規則正しくFe層に置換したものは磁性/超伝導人工格子をメスバウア-分光法を通じて調べるために好適な試料であり、超低温測定などを応用して考察を進める。一方セラミック法によって作成した^<57>Feや^<119>Snを不純物として含むLa(Sr)_2CuO_4はメスバウア-分光法によって調ベた結果、大変興味深い磁性を持つことが明らかになった。^<119>Sn核は極低温では内部磁場の存在を示し、Cuが局在磁気モ-メントを持つこと、それらは反強磁性的秩序を持つこと、更にその磁化は低温でもゆらいでいることがわかった。スペクトルの温度変化からそのゆらぐ早さと、温度依存性の検討を進めている。一方Fe不純物は常に内部磁場を示し、Feの存在がCuのスピンの磁気秩序を安定化させていることがわかった。磁気秩序の構造は複雑でSrの量が15%以下ではスピン方向がC軸であるのに対し、15%以下ではC面方向に向きを変えることがわかった。Sn核を通して見た磁化とFe核を通じて見た磁化はかなり動的挙動が異なっており、後者の方がかなり遅くなっているが、この原因はFeの大きな磁気モ-メントがCuの磁化と結合するためであろうと考えている。Cu化合物の磁化のゆらぎを調べる手法としてSnメスバウア-分光が有用であることが証明されたので次の段者として人工格子薄膜試料中にSnを添加する試みを予定している。
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