研究課題/領域番号 |
63420012
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小林 和男 東京大学, 海洋研究所, 教授 (10013559)
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研究分担者 |
飯山 敏道 千葉大学, 理学部, 教授 (90107699)
藤本 博巳 東京大学, 海洋研究所, 助教授 (50107455)
酒井 均 東京大学, 海洋研究所, 教授 (00033126)
平 朝彦 東京大学, 海洋研究所, 教授 (50112272)
瀬川 爾朗 東京大学, 海洋研究所, 教授 (60013570)
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キーワード | 南海トラフ / 海底湧水帯 / プレ-ト沈み込み / 堆積物間隙水 / 海底電位差計 / シロウリ貝群集 / 海溝付加帯 / KAIKOーNANKAI計画 |
研究概要 |
白鳳丸のKH89ー1次航海後半(7月4〜10日)に海洋科学技術センタ-の深海曳航式テレビとソナ-を積んで、シ-ビ-ムや音響測位装置と同時使用して南海トラフ東部海底湧水帯の位置と規模を精密に同定することができた。そのデ-タに基づいてフランスの潜水調査船ノチ-ルにより同海域に24回の調査潜航を行い、海底地層の詳細な観察と熱流量・間隙水圧の現場測定、試料採取(採水、採泥、シロウリ貝採集)及び日仏の海底電位差計・温度計(いずれも長期自動記録器付)の設置を行った。特にシロウリ貝を中心とする底生生物群集は、海溝付加帯の変動前面上部に集加して存在することを潜水船からの目視と曳船テレビで確認し、そこでの地下鉛直温度勾配測定からシロウリ貝群集内だけに数m/年に及ぶ湧昇水が存在することを証明した。その付近の表層堆積物の透水率が極めて大きいので間隙水圧はそれほど大きくなかったが、湧水域の周囲には下降域も存在するらしいことも示された。採取試料の処理分析は母船ナジ-ル上に加えて寄港地御前崎に近い榛原高校にも実験室を仮設して実施し効果を上げた。変動前面(水深3800m)の上方に当るバックスラスト域(水深2000m)の海底には湧水帯にみられた軟い砂泥が湧出メタンの酸化によって生じたと思われる炭酸カルシウムでセメントされた堆積物が露出し、底層水による侵食を受けつつあることも観察された。8月に海底に設置された長期測定機器は11月末に淡青丸KT89ー17次航海において音響切り離し自己浮上方式により回収した。記録は日仏双方で解析中であるが有意な時間変動が検知されている。これらの成果は2月22〜23日に東大海洋研で開催されたシンポジウムで発表され、広く各分野から検討が加えられ、プレ-ト沈み込み過程に伴う海溝付加帯の生成と成長について多くの新しい知見が得られた。本年11月にはフランスでKAIKOーNANKAI計画のシンポジウムでも報告される。
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