雲はバンド状に組織化されると雲も降雨も急激に活発化する。 はじめ3次元雲モデルを用いて雲の組織化に伴う降水効率の増加について研究を行った。冬期の北陸では下層に温度不連続帯が形成されているのでモデルに導入、バンド雲を作った。雲はバンド雲に組織化すると大きなメソ場を形成して、協力して大きな、長続きする降水セルが形成された。平成2年秋の気象学会に発表したが現在Open Boundaryにモデルの改良を行っている。 ハワイレインバンドも北陸のバンド雲とよく似ていて背が低い。ハワイでの飛行機観測のデ-タ解析を行った。バンド雲からの降水効果を面白いことに垂直方向の風の場が最も影響していることが分かり中緯度の大きなスコ-ルラインとは異なることが分かった。 風が飽物線のときレインバンドは最も活発で雨が風のジェットの高度に集積すると下降気流でこの高度のモ-メンタムは下層に運ばれ、強い下層収束帯が形成される。そのため下層の湿った空気が雲に連続的に導入され強力なレインバンドが形成されていることが分かった。1990年夏にハワイで再度米国プロジェクトが行われ、我々の研究室もこれに参加した。雨の集積とモ-メンタムの輸送がレインバンドの活発化に重要なことから降雨機構の研究が重要となる。現在、降雨機構で最も不明な箇所は赤道地帯である。雲底から0℃層までの雲が厚いので雪がなくとも雨が降る。しかしPonape島での我々の研究では、赤道の雲は雪を多量に成長させていることが分かった。3次元モデルの研究の結果、赤道の雲でも雪があれば降水が著しく強力になることが分かった。
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