研究課題/領域番号 |
63420016
|
研究種目 |
一般研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
超高層物理学
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
木村 磬根 京都大学, 工学部, 教授 (00025884)
|
研究分担者 |
松尾 敏郎 京都大学, 工学部, 教務職員 (80109032)
大村 磐治 京都大学, 超高層電波研究センター, 助教授 (50177002)
佐藤 亨 京都大学, 工学部, 講師 (60162450)
|
研究期間 (年度) |
1988 – 1990
|
キーワード | レイトレイシング / あけぼの衛星 / 磁気圏プラズマ分布 / 伝搬ベクトル測定 / ホイスラ-モ-ド波 / イオンサイクロトロン波 / グラフィックル-チン |
研究概要 |
本研究課題は、レイトレイシングの技術を応用して、宇宙プラズマ特に地球周辺プラズマ中の波動の伝搬特性を研究する事を目的としている。この目的に使用できるレイトレイシングの手法については、当研究室が世界的にも最も進んだ研究開発を行ってきており、1989年に打ち上げられた科学衛星EXOSーD(Akebono)による各種のプラズマ波動、たとえばVLE、ELF波動の観測結果を解釈するうえで、最も有効な武器となった。またこれを利用して、地球磁気圏内のプラズマ密度のモデル作成を行った。3年間の研究成果の要点は下記の通りである。 1.これまで大型計算機上で用いたVLF、およびELF波動のレイトレイシング計算プログラムをワ-クステ-ションに移植し、また同時に計算結果を最適な形で表示するためのグラフィックル-チン、およびハ-ドコピ-作成ル-チンを完成させた。 2.あけぼの衛星のVLE波動観測結果に対する応用は次の2点である。 (a)VLE領域の観測では、得られた電界、磁界成分から、伝搬ベクトル方向を決定する手法を開発しオメガ局信号(10.2kHz)の磁気圏内での伝搬ベクトル方向の測定を広領域で連続的に行った。一方レイトレイシングにより伝搬通路と、伝搬ベクトル方向の予測を行った。ホイスラモ-ド電波の通路は磁気圏中のプラズマ空間分布に依存するので、衛星軌道上で測定された電子密度と矛盾しない磁気圏内のプラズマ分布モデルを作る方法を開発し、その結果得られた分布によりレイトレイシングを行い、観測により求められた伝搬ベクトル方向とよく一致することを確認した。 (b)ELF帯の領域では、磁気赤道付近でのみ存在する電磁波放射が、あけぼの衛星で初めて発見されたこの波動は、観測点でのヘリウム、酸素イオンのサイクロトロン周波数と密接に関係しており、イオンサイクロトン波であるという解釈のもとに、赤道域に電磁波のエネルギ-源があるとしてレイトレイシンを行い、この解釈が観測で得られた諸性質と矛盾しない事を明らかにした。
|