研究課題/領域番号 |
63420017
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
中川 久夫 東北大学, 理学部, 教授 (90004308)
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研究分担者 |
永広 昌之 東北大学, 教養部, 助教授 (10124554)
蟹沢 聡史 東北大学, 教養部, 教授 (70005784)
箕浦 幸治 東北大学, 理学部, 助教授 (10133852)
小笠原 憲四郎 東北大学, 理学部, 助教授 (20110653)
森 啓 東北大学, 理学部, 教授 (00004466)
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キーワード | 地質構造形態 / 堆積構造形態 / 滑落・スランプ / 黒滝不整合・関東構造盆地 |
研究概要 |
1.前年度報告のうち重力構造運動の3過程について、西南日本外帯の秩父・四万十帯及び相当帯において検討を重ね、とくに海底斜面の傾斜変化と堆積物・堆積層の変形と滑落の停止との関係に重点をおいて、各過程の行なわれた規模と期間を再検討した。かなりの見通しは得たがこの検討は次年度に継続する。 2.1の検討において、とくに南関東の新生界の堆積・構造形態に注目し、主要地域を選んで嶺岡・三浦・佐久間・上総・下総層群と三浦・房総半島の相当層を精査し、(1)各層群の区分を生じた変動の大部分は、続発した前壊による重力構造運動であることが明らかになった。とくに、(2)上総層群の堆積盆の成立は、上総層群基底の黒滝不整合に象徴されている。(3)不整合は関東地方の大部分を一塊とする巨大スランプの先端部に当たり、漸深海底に生じた隆起部に安山岩質火山砕層物が堆積し、さらに低所には泥質堆積物が堆積して形成された。底生有孔虫群集と不整合面下の粘土鉱物から海底で形成された不整合であることは確実である。(4)上記スランプの主滑落嶺は利根川(または構造)構造線付近にある。黒滝不整合は約2Maに生じ、房総・三浦半島にわたり連続追跡され、その方向は関東構造線、相模トラフと平行である。(5)同時期に房総半島南端部では千倉層クの堆積盆が形成された。(6)同様の変動は古第三紀末・前期中新世末・中期中新世にも起こった。(7)この変動は関東構造盆地形成の第1段階で、その第2段階は更新世中期に日本海溝と平行な隆起帯が房総半島東縁に形成されたものと考えられる。 次年度の総括に際しては、検討の継続はほかに、従来、日本のみならず、重力構造運動が軽視されてきた事情や、不整合・変動期と静止期の別・移曲及び断層と広域的広力場の関係・主要な造構力などをも総括的に論評し得るようにする見通しである。
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