研究課題/領域番号 |
63420018
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
竹内 章 富山大学, 教養部, 助教授 (20126494)
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研究分担者 |
蘆田 完 富山大学, トリチウム科学センター, 助手 (70192953)
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キーワード | 年代測定 / 熱ルミネッセンス / 電子スピン共鳴 / 第四紀 / 年間線量 / 天然放射線損傷 / ガンマ線検出器 / 放射能測定 |
研究概要 |
本年度は、研究第1年度として湖底堆積物・淡水棲珪藻土・火山灰を採集した。また、海外学術調査の際に、中国黄土高原において風成黄土および段丘堆積物を採集した。線量測定用および放射能測定用に試料を調製した。 線量年代測定:上記の各測定試料について熱ルミネッセンス(TL)測定および電子スピン共鳴(ESR)測定の双方を実施した。その結果珪藻土や火山ガラスのようなアモルファス試料は、予想通りTL法では信号が測定されないことが確認された。一方、これらの試料のESR測定では、複数の明瞭な信号が観測された。したがって、試料の性質にあわせて測定方法を適宜選択することにより、年代測定が可能であることが確認できた。とくにTL法は、測定に適した粒径が少量しか得られない黄土試料の測定に適している。ESR信号のg値を詳細に測定した結果では、信号の同定に新しい問題点も見出された:(1)従来の常温測定で放射線損傷に起因するとされていた信号は不対電子信号E'とは異なること、(2)低温で観測されるE'信号は焼鈍実験により強度が増大すること、などの知見が新たに得られた。これらは従前のESR年代測定法の再検討と新方法の開発を要する重大問題であり、次年度はまずこれをクリアする必要がある。 年間線量率に関しては、本研究の主要設備であるウェル型高純度ゲルマニウム検出器を用いたガンマ線分光測定装置を導入した。試験運転により、装置の基本的性能を確かめるとともに、導入時に付随していたデータ処理ソフトを改良して、長時間測定の自動化を計った。黄土・火山灰その他の試料を用いた予備実験の結果、放射平衡を仮定する限り、ガンマ線測定によっても天然放射性核種定量が可能なことが分かった。次年度は、標準線源較正を行ない、具体的に線量率と年代値を算出する。
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