(1) 全長30cmのHST風洞模型4種類を設計製作し、科学技術庁航空宇宙技術研究所の極超音速風洞を用いてM=7.1、レイノルズ数Re=O(10^5〜10^6)で実験を行い、空力特性、表面圧力分布、オイルフロ-、シュリ-レン写真等の成果を収めた。模型として体積係数(胴体体積/(主翼面積)^<3/2>)を0.1程度とし、かつL/Dの大きい形状を得た。4番目の模型は特に翼胴結合に配慮したもので、L/D25.5を得ることができた。この値は世界的にも注目されている高い値である。 (2) (1)の基礎研究として、造波抵抗、摩擦抵抗、衝撃波と境界層の干渉翼胴干渉、翼上面剥離渦、境界層遷移等が重要であることが認められ、各項目につき東大工学部航空学科極超音速熱風同(M=7、Re=O(10^6))を用いて実験を行った。(1)(2)の有機的成果は大きかった。さらに空力特性の熱的制御の重要性が認織された。 (3) 数値シミュレ-ションの妥当性と有効性が認められた。 (4) (3)とCADシステムの結合が今後のHST開発に非常に有望であることがわかった。こと手法の確立のために、(1)(2)のデ-タベ-スとしての活用、(3)の信頼性あるシミュレ-ション手法の開発が今後も行われる必要がある、基本的な取組みとしては、研究代表者らが先に行った、空気力学とCADに関する研究が役立つものと考えられる。 (5) 今後のHST技術の重要な目標の一つとして、極超音速流の熱的制御が挙げられる。その基礎的研究は今回の研究で行われた。 (6) 本研究で得られたHSTは将来の2段式スペ-スプレ-ンの一段目として役立つことがわかった。 (7) 今後本研究をさらに発展させると同時に、HSTに関する環境問題等に関しても研究が行われなければならない。
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