研究概要 |
音響振動信号処理技術を利用する非破壊検査により、土中又は構造体内にあって、X線透視等の技術が使えない物体の欠陥の発見を可能にするための基礎技術の開発を目的として研究を行った。まず第一段階の対象として、コンクリ-トパイルを地中に埋め込んだままの状態で、地表に出ている部分に衝撃を加え、そのレスポンスからコンクリ-トパイルの寸法、末端の形状および欠陥の位置と大きさ等を推定する問題を取上げた。これは、従来、豊富な経験を有する熟練者が波形を観測して行なってきたことである。 平成2年度では,これまでの2年間の研究成果をまとめるための研究を行った.すなわち,内部構造が必ずしも一様でない長大な物体の一端を駆動したときの駆動力とレスポンスから、物体の形状、寸法、内部構造等を推定するために開発した信号処理手法,および多くの要因の混在により複雑な様相を呈するレスポンスを基にして的確な判断を自動的に下すことができるようにするため、熟練者の主観的判断の方法を参考にして開発した知識ベ-スの有効性を定量的に確認するため種々の現場で実験を行った.その結果,完全に自動的に推定誤差30%で土の影響と杭の断面積を推定できることが確かめられた。 さらに本研究の成果をより一般的な物体の欠陥検出に応用できるようにすることを目的として、手法を整理し本手法の応用可能な分野について検討を行った。これまでの研究の成果は平成3年5月にカナダのトロントで行われる音響,音声,信号処理に関する国際学会ICASSP91において報告することになっている。
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