研究課題/領域番号 |
63420044
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
落藤 澄 北海道大学, 工学部, 教授 (50001152)
|
研究分担者 |
横山 真太郎 北海道大学, 工学部, 助教授 (90002279)
澤登 龍彦 北海道大学, 工学部, 助教授 (30001150)
|
キーワード | 高密度生活空間 / 臭気指標 / 室内空気質 / 生体機能 / 空気環境試験室 / 必要換気量 |
研究概要 |
本年度は、昨年度に設計・製作と制御方式の検討課題をへてほぼ完成した空気環境試験室を用いて、生体機能計測法による臭気すなわち空気質の感覚成分の評価に関する基礎実験を中心に研究を進めた。それと、並行して臭気指標に関する主観評価の実験と検討をも行った。 生体機能計測法による空気質の感覚成分の評価に関する基礎実験での測定項目は、(1)脳電位、(2)筋電位、(3)心電位による心拍数・心拍間隔分散値、(4)サ-モグラフィ-による顔面皮膚温である。刺激物質は嗅覚検査で多用されている1)イソ吉草酸、2)スカド-ル、3)betaーフェニルエチルアルコ-ル、4)メチルシクロペンテン、5)gammaーウンデカラクトンおよび臭気指標で標準臭気として国際的に用いられている6)2ープロパノン、7)1ーブタノ-ルである。 嗅覚刺激方法には、臭液の入った試薬瓶を鼻孔の直下に呈示する自然拡散型と今年度開発した被験者の呼吸に同期させて嗅覚刺激発生装置による機械導入型の2つの方法をとった。被験者は21ー24歳の青年男子8名であった。今回採用した7つの臭気物質は比較的高い濃度レベルにあったこともあり、総じて、生体機能に影響がみられた。たとえば、1)ー5)の自然拡散型での脳電位の結果は、花香と呼ばれる3)βーフェニルエチルアルコ-ルを除き、αーblocking現象すなわちα波成分の低下がみられた。また、臭気指標で標準臭気として用いられている2ープロパノン、1ーブタノ-ルが心電図および顔面皮膚温に多大な影響を及ぼしているという結果などは、その影響の大きさから考え、今後慎重に検討する必要がある。 その他に、臭気指標に関する主観評価の実験と検討をも行った。その中で、気温20ー22℃、相対湿度40ー60%と限られた条件であるが、安静時と2種類の運動時での体臭強度と必要換気量に関する検討を行い、在室者の運動強度の増加によって、CO_2濃度が同一レベルでも、不快者率は増大し、この場合、必要換気量が6ー8倍に達することが分った。
|