研究概要 |
1Bi系酸化物超伝導体の状態図の作成と110K相の成長過程の解析 (1)Bi_2(SrCa)O_4と(SrCa)CuO_2を端成分とする擬二元系相図の確立を目指し,結晶の成長と溶解を鏡下で直接観察し,連続的にVTRに記録する方法を試みた。Bi_2(SrCa)_<x+1>Cux Oyと表現したとき,X=1.3とその前後の組成の焼結体または,単結晶の粉砕試料を用いて,特に110K相と共存する液相の温度と組成の幅を推定することができた。その温度幅はX=1.3のとき,875℃-865℃で,最大が10℃であった。このことから,110K相の単結晶育成は,極端に遅い降温による方法ないしは,定温での組成供給法によらねばならないことが判明した。 (2)80K相と共存する液相の温度幅は865℃から835℃の30℃であることも得られた。これら超伝導相の同定は,試料が極微なため,かなり困難であり,電気抵抗曲線の変化に基づく。最終的にX線でC軸周期の測定をすべく,現在,東大鉱物教室と共同研究中である。 (3)以上の(1)(2)の実験は全て,大気中で行った。酸素分圧が状態図にどのような効果を与えるかを知るため,まず,高酸素圧下での直接観察を行った。その結果,酸素分圧に比例して包晶点が上昇することが判明した。このことから,酸素分圧を逆に減じることで,より低温での結晶成長が可能である見通しを得た。 2Nd系123相大型単結晶の高温溶液相成長 大型の123相単結晶が育成されていない今,この系の単結晶育成に成功すれば,物性測定に飛躍が期待される。ここ数年間,手がけてきたEr系,Gd系,Nd系の123相を対象にし,その成長様式と相変態(双晶化)と酸素量の相関を調べた。希土類によって酸素の出入りにかなり差が見られた。特にNd系は酸素不足を補うのが困難である。これらの特長をもとに,光集中炉でTSFZにより結晶育成を試みている。
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