日本海における孔内地震計による地震観測は平成元年秋の国際深海掘削計画による設置とともに開始する予定である。本年度はそのための準備期間にあたり、全体のシステム設計は終了した。孔内測器は、センサー部、データA/D変換部、センサ姿勢制御部から成り、基盤岩にクランプされる耐圧容器に収まる。孔内測器は本年度製作を行った。主な仕様は30Hzから100秒周期まで加速度感度10^<-8>m/s^2を満足させ、かつ掘削孔内ドリルパイプ内を通過できる特別設計のものである。センサーはフィールドバック型で、DC成分も記録して水平動が傾斜計の役割りも果たせるよう考慮してある。データは16ビットダイナミックレンジで標準ロギングケーブルを介して海底記録部へ伝送される。電力は同じケーブルを用いて海底電源部から供給する。電源は固体蓄電池を油漬けにした圧力補償型である。記録部は60Mb容量を持つ。データ回収のためにポリプロピレンロープを記録部につなぎ、端末に音響切り離し装置をつなげる。 実験はリアルタイム人工地震実験と長期観測とに分けられる。前者は掘削船上での観測となるが、その際のデータ収録装置も購入した。システム設置は掘削船と支援船の2隻を用いて行い、支援船は東大海洋研の共同利用船を利用する。 データはイベントトリガーにより記録するが、判定法はLTA/STA法に周波数情報を含ませるものとするが、具体的なパラメータ設定は陸上のデジタル広帯域地震観測網による実例を用いてテスト中である。距離10度以内のM5クラスを選択することが目標である。
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