現在試作中の分光器は、申請時計画していたBalle-Flygare型を大幅に改良したアメリカNBSのLovas-Suenrum型である。これに伴う主な計画変更点は、2光源システムからシンセサイザー1台によるシステムとしたこと、及び空洞へのマイクロ波の導入を同軸ケーブルとし、同調機構を簡略化したことである。又研究分担者のNBSにおける調査(1988年8月)より、化学反応研究用には排気速度が可能な限り大きい事が有利との結論に達し、申請時よりも排気速度の大きい油拡散ポンプを使用する事とした。この経費増は先の簡素化により補うこととした。 購入した部品および進捗状況は以下の通りである。【○!1】大型真空容器の設計製作(600^φ×1200、SS製)。真空リークテストを完了し架台に設置し、次年度購入予定のポンプ類の接続を待つ段階である。なお本体は拡散ポンプ用22″フランジをはじめ、将来のレーザ照射等のため計14個のポートを有する。【○!2】ファブリペロー鏡の製作(350^φ、Al製凹球面鏡2枚、NBS設計図に基づく)。マイクロ波同調機構付空洞の設計を完了した。【○!3】各種マイクロ波コンポーネントの調達。特に低ノイズ増幅器等はNBSの助言により厳選し、米国製品を購入した。これらの電源等を自作し、各部品をテスト中である。【○!4】パルスコントローラーの製作。NBS回路図を基に製作を依頼し、納入品をテスト中である。本品は次年度購入予定であったが、パルス系は早急のテストが必要と考え製作した。なおこの経費は次年度送りとしたポンプ類の費用に補うこととした。【○!5】超音速分子流発生のためのノズルは、現在自動車の燃料噴射バルブを使用しており、その作動状態をテスト中である。次年度購入予定の分子流専用のソレノイドバルブの購入適否を検討中である。【○!6】研究分担者はNBSにおいてAr-CH_3OHの測定を行い、本分光器の操作に習熟し、又本器の一層の発展性について種々の議論を行った。
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