研究概要 |
パルスノズル型フ-リエ変換マイクロ波分光器の試作をほぼ完了した。本器はBalle-Flygare型を改良したLovas-Suenram(NIST,USA)型を原形とするものである。本年度行った試作の内容および実績は次のとうりである。 1。マイクロ波干渉真空容器(60φ×120cm)に、油拡散ポンプ(13000l/s)、メカニカルブ-スタ-ポンブ(1000m^3/h)および油回転ポンプ(3000 l/s)を接続し、真空度3×10^<ー6>Torrを達成した。 2。昨年度購入した2個の球面鏡(35cmφ、Al製)により、ファブリ-ペロ-型干渉計を製作した。周波数同調機構にはコンピュ-タ制御の容易なスッテッピングモ-タ-(0.36^0/pulse)を採用した。 3。パルス試料分子流をつくるために分子線専用のソレノイドノズルを採用した。 4。マイクロ波光源にはシンセサイザ-を使用した。FID信号検出のためのダブルス-パ-ヘテロダイン方式におけるIF(30MHz)として、シンセサイザ-の10MHz出力の3倍波を利用し、高感度SSBMを用いることにより、従来の2光源方式を簡略化することができた(NIST方式)。 5。マイクロ波パルスは、PINスイッチ(立ち上がり10ns,分離能60db)により発生させた。FID信号の増幅には特に低雑音のマイクロ波増幅器が必要であった。 6。パソコン(CPU32ビット)を主体とし、主にGP-IBバスで結合したパルス制御、およびデ-タ処理システムを構築した。 7。2枚のアルミ板(34cm角)によるシュタルク電極を構成し、その電源(最大出力±5kV)を製作した。 この装置により、Arで約0.1%に希釈した^<16>0^<12>C^<32>S分子のJ=1→0遷移を、1パルスによりCRO上で容易に観測することができた。現在、感度の向上を目指して調整中である。
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