研究概要 |
平成2年度の実施計画に基づいた人工系及びバイオ系両面からの研究により以下の研究成果を得た. 1.人工アニオンレセプタ-(脂溶性大環状ポリアミン及びシクロデキストリンポリアミン)を用いるイオンチャンネル型センサ-を試作し,ATP^<4ー>イオン等のポリアニオンを選択的に,かつイオンチャンネルの原理に基づいて増幅して検出できることを実証した(<Anal.Chem.>___ー,62,1252(1990)).また,バリノマイシン包埋脂質単分子膜界面におけるホストーゲスト錯形成は膜表面電荷によって支配されることを明かにした(<Langmuir>___ー,投稿中). 2.ラット脳より抽出,精製したL__ーーグルタミン酸受容体イオンチャンネル蛋白を用いるイオンチャンネルセンサ-を開発した(<Anal.Sci>___ー.6,221(1990)). 3.チャンネル機能を有する人工ホスト化合物(長鎖シクロファン及びシクロデキストリン誘導体)を合成、精製物を得た.膜形成能,有機ゲスト認識能及びホストーゲスト相互作用に基づく膜透過性制御機構を明らかにし,これらの化合物がイオンチャンネル物質として機能することを示した. 4.能動輸送による物質濃度増幅の原理を理論的及び実験的両面から明かにした(<Anal.Sci>___ー.7,191(1990)). 5.モルモット小腸より,Na^+/D__ーーグルコ-ス共輸送蛋白を抽出,精製した.これを平面脂質二分子膜に包埋することにより能動輸送型D__ーーグルコ-スセンサ-を開発した.また,能動輸送におけるエネルギ-供給の新形態を提案した.具体的には豚腎臓から抽出,精製したNa,KーATPaseポンプ(一次性能動輸送)によりD__ーーグルコ-スの能動輸送(二次性能動輸送)を駆動できることを実証した.
|