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1989 年度 実績報告書

琉球弧を中心とする太平洋西縁域における後期新生代海洋環境変動の研究

研究課題

研究課題/領域番号 63430012
研究機関琉球大学

研究代表者

氏家 宏  琉球大学, 理学部, 教授 (60000113)

研究分担者 山本 聰  琉球大学, 理学部, 助手 (50124855)
キーワード海洋環境変動 / 琉球海溝斜面 / 底生有孔虫群集 / 酸素・炭素安定同位体比 / 氷河発達・衰退 / 阿多火山灰層 / 黒潮反流 / ピストン・コア
研究概要

1:宮古島東方沖海溝斜面(水深約2,200m)より得たピストン・コア(KT84ーP1)に認められた底生有孔虫の十分な研究を終え、163タクサ(3新属・10新種を含む)について本格的な記載論文を印刷・公表した。同群集の組成解析と共に、ナンノ化石群集組成解析・浮遊性有孔虫と底生有孔虫の石灰質殻を用いた酸素及び炭素安定同位体比測定・化学分析(特に炭酸塩含有量)・火山灰層2枚(姶良Tn・阿多火山灰層)の同定を完了し、国際誌(Marine Micropaleontology)に投稿した。その結果、同コアは過去約15万年間にわたる環境変動を見事に記録していることが分かった。つまり、その間の氷河発達の消長を表層水が良く反映して変動しているのに対して、底層水の変動は微妙である。この微妙な変化は底生有孔虫群集の組成変化に、より良く表れている。
2:石垣島南方沖海溝斜面(水深約2,500m)より得たピストン・コア(RN87ーPC4)においても阿多火山灰層が認められ、底生有孔虫・ナンノ両群集の予察的研究を終えた。やはり宮古島沖コアと同様な期間にわたる氷河発達・衰退の反映が認められた。しかし底生有孔虫群集の変動が若干微弱なのは、より南に位置するためか、と類推される。
3:慶長間ギャップ南東沖海溝斜面(水深約2,500m)より得たピストン・コア(RN89ーPC3)では、阿多火山灰層・ナンノ化石層序・浮遊性有孔虫に基づく酸素同位体比変動(二表層水温変化)などから、過去約27万年間に及ぶ海洋環境変動を記録していることが分かった。
4:以上の3本のコアに阿多火山灰層が含まれる点は、約8.5万年前にも、黒潮反流が存在し、従って黒潮主流は沖繩トラフにあった事を示す。
5:約170から700万年前にかけて堆積した島尻層群の底生有孔虫群集の予察的研究により、当時の海溝斜面海底の環境が現在ないし近過去とかなり異なっていたことが示唆された。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] 氏家宏・小野朋典: "琉球列島の後期新生代海溝斜面底生有孔虫フォ-ナ:序論" 論集:日本列島の有孔虫. 71-75 (1989)

  • [文献書誌] Hiroshi Ujiie: "Bathyal Benthic Foraminifera in a piston core from East off the Miyako Islands,Ryukyu Island Arc" Bull.Coll.Sci.,University of the Ryukyus. 49. 1-128 (1990)

  • [文献書誌] Hiroshi Ujiie,Tomonori Ono&Yuichiro Tanaka: "Paleoceanographic Records in a Piston Core from East off the Miyako Islands,Ryukyu Island Arc" Marine Micropaleontology.

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公開日: 1993-03-26   更新日: 2016-04-21  

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