研究課題/領域番号 |
63430017
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
冨永 博夫 東京大学, 工学部合成化学科, 教授 (00010760)
|
研究分担者 |
幸田 清一郎 東京大学, 工学部反応化学科, 助教授 (10011107)
|
キーワード | エキシマーレーザー / 部分酸化反応 / 炭化水素 / 亜酸化窒素 / オゾン / 気相酸素 / 一重項酸素原子 / 酸素同位体 |
研究概要 |
反応基質としてメタン、エタン、シクロヘキサンを選び、亜酸化窒素あるいはオゾンのエキシマーレーザー光による光分解により酸素原子が生成する反応を開始反応として気相酸素による部分酸化反応を行ない、生成物の詳細な定量、定性分析を行なった。 気相酸素が共存しない系においては、アルキルラジカルの再結合反応またはそのラジカルの分解反応によって、炭化水素の選択率が高い。一方気相酸素が共存する系では、メタノール、エタノール、シクロヘキサノール、シクロヘキサノン等の含酸素化合物の生成が顕著になり、反応温度の上昇にともなって反応の連鎖長も伸びる。ただし、特に高温になると完全酸化生成物の選択率が高くなる。また、気相酸素はある程度以上存在しても、目的とするアルコールなどの含酸素化合物の選択性には影響しない。反応基質に芳香族炭化水素を用いた場合、反応開始剤の光吸収による期待された反応開始過程が起こらず、気相酸素の有無にかかわらず、基質自身の光吸収によって分解反応が起こる。 また、気相酸素に酸素同位体を用いて反応経路を推定する実験を行なったところ、メタン、エタンの系についてはアルコール及びアルコキシラジカルには気相酸素のみが含まれていることが確認された。シクロヘキサンについては、開始剤の光分解で生じたO(^1D)とシクロヘキサンとの反応でできるホットシクロヘキサノールの安定化により生成するシクロヘキサノールが7割程度あるのに対し、シクロヘキサノンは約7割が気相酸素を取り込んで生成することが明らかになった。これらの結果をもとに、各炭化水素の部分酸化反応の反応機構を推定した。 本実験条件では目的生成物である含酸素化合物の二次的な光分解反応によって収率が低下する場合がある。この場合、パルス間隔やセルのジオメトリーなど反応工学的な条件の改善が必要であると考えられる。
|