研究課題/領域番号 |
63430017
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
冨永 博夫 東京大学, 工学部, 教授 (00010760)
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研究分担者 |
幸田 清一郎 東京大学, 工学部, 助教授 (10011107)
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キーワード | エキシマ-レ-ザ- / 脂肪族炭化水素 / 部分酸化反応 / 光化学反応 / 含酸素化合物 / カップリング反応 / 一重項酸素原子 / 三重項酸素原子 |
研究概要 |
エキシマ-レ-ザ-光を用いた各種炭化水素の分子状酸素による部分酸化反応において、前年度までに得られた各種炭化水素の部分酸化反応の基礎的知見をもとに、本年度には以下のような知見が得られた。 1.気相酸素をシクロヘキサンに溶解し、液相にKrFエキシマ-レ-ザ-を照射する実験を行なった。反応温度340Kにおいて、シクロヘキサノ-ルとシクロヘキサノンの合計の選択率は85%を越え、量子収率も10^4を越える値を得た。前年度までの知見では、気相での反応における量子収率は最高でも10以下であり、この両者の違いは、基質濃度が高い液相の方が、基質からの水素引き抜き反応がより進行することによるためであると結論した。 2.1の反応において気相反応では生成が観察されなかったビシクロヘキシルやシクロヘキシルエ-テルの生成が観察された。これらの生成物はいずれもラジカルカップリングによって生成すると考えられ、液相で反応を行なうことによる'かご効果'に起因するものと推定した。 3.気相酸素の代わりに亜酸化窒素を酸化剤としてシクロヘキサンに溶解し、ArFエキシマ-レ-ザ-光を照射した実験を行なったところ、シクロヘキサノ-ルとビシクロヘキシルのみが選択的に生成した。このシクロヘキサノ-ルの生成は、一重項酸素原子のCーH結合への挿入で生成するホットアルコ-ルが、系内の分子との衝突によって安定化されることで説明される。 4.シクロヘキサンと一重項及び三重項酸素原子の液相における反応について、反応機構を気相反応と比較し、その特徴を明らかにした。
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