久保田コンピュ-タ社製TITANグラフィックワ-クステイション及びサンマイクロシステムズ社製SUN3/260ワ-クステ-ションを中心とする蛋白質立体構造解析人工知能システム本研究課題で設置構築し、これを最大限に活用することにより次の成果を得た。 構造予測の問題の内、最も難しいのが、アミノ酸配列情報のみが与られている場合である。この場合は従来の物理化学的原理に基づく方法は、基本的な因難を抱えていて簡単な解決は存在しないと、過去30年間のこの分野の研究から考えられるに至っている。そこで本研究では今までの方法とは本質的に異なるアプロ-チとして、生物進化を基礎にするパタ-ン認識の方法の可能性を試みることにした。そのために球状蛋白質中のポリペプチドフラグメントの主鎖立体構造の分布を調べた。その結果クラスタ-状の分布が見いだされた。これによって主鎖構造の定量的分類法を導くことが出来る。 構造予測の問題の内、部位特異的アミノ酸置換に伴う構造変化を予測する問題は最も簡単な問題であるが、この場合は構造変化をそれに伴って起こる機能変化を説明し得る精度で予測することが求められている、ところが、一つのアミノ酸置換に伴う構造変化は一般に小さく、室温に於ける構造揺らぎの振幅以下である。従って予測すべきことは、アミノ酸置換にともなう動的構造の変化である。そこで動的構造を記述する方向に研究を進めた。その結果、球状蛋白質の立体構造の動きには、基準振動解析で理解できる固体的な側面と、急冷によってガラス状態を生み出すような液体的な側面があることが明らかにされた。
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