研究課題/領域番号 |
63440008
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
長南 信雄 茨城大学, 農学部, 教授 (90005603)
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研究分担者 |
土屋 哲郎 茨城大学, 農学部, 助手 (00207408)
松田 智明 茨城大学, 農学部, 助教授 (50007788)
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キーワード | イネ / 篩部 / ジャガイモ塊茎 / 節間 / 転流 / デンプン粒 / 胚乳 / プラスチド |
研究概要 |
1.イネの節間における光合成産物の長距離と短距離の転流機構を検討するため、大維管束を透過型電顕により観察した。その結果、節間伸長停止直後には、すでに篩部の大部分を占める大型の篩管・伴細胞複合体に構造破壊がみられたことから、木部側の小型複合体が主として長距離転流機能を果しているものと推定した。さらに、篩部とその周辺部における原形質連絡の分布状態およびメストム鞘細胞壁におけるスベリン層の存在などから、光合成産物は一旦、篩部の自由空間に放出され、その後、シンプラスト経路で基本柔組織に短距離移動するものと推定した。 2.イネの胚乳における光合成産物の転流と蓄積の機構を検討するため、開花後経時的に子房を固定し、透過型と走査型の電顕による観察を行った。その結果、糊粉層と亜糊粉層の細胞壁はセルロース微繊維の密度が低くて自由空間に富み、亜糊粉層ではミトコンドリアが細胞壁に沿って配列することなどから、この細胞層が自由空間から積極的に溶質を吸収しているものと推定した。また、デンプン貯蔵細胞のプラスチドは、増殖をくり返したのち包膜を拡張させて大型化し、その内部にデンプン粒を蓄積してアミロプラストに発達することを明らかにした。 3.ジャガイモ塊茎における光合成産物の蓄積過程を検討するため、肥大開始後経時的に柔組織を固定して走査型と透過型の電顕による観察を行った。その結果、プラスチドの増殖様式には、くびれによる増殖と突起形成による増殖とがあり、この増殖様式はデンプン粒の蓄積程度によって異なり、突起形成による増殖は収穫期まで続くことを明らかにした。 4.本年度は従来から行われているグルタールアルデヒドとオスミック酸による固定法を用いて電顕観察したが、新らたに購入した急速凍結固定装置などの備品類を使った凍結置換法による電顕観察の技術的検討を開始した。
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