研究概要 |
1、水稲葉身の老化過程における葉緑体と篩部の微細構造変化を透過型電顕により観察し,後生篩部の退化が光合成産物転流の機能的衰退に密接に関係していることを推定した。 2、イネ科植物38種の葉緑体を透過型電顕により観察し,葉緑体の周辺部網状構造(Peripheral Reticulum)の発達程度を比較し,強光,高温,乾燥などの熱帯環境に適応性を示すヒゲシバ亜科においてこの構造がよく発達していることを明らかにした。 3、マメ科作物13種の葉身小脈を透過型電顕により観察し,冬作物は夏作物に比べて篩部転送細胞の細胞壁内部突起がよく発達していることを明らかにした。 4、走査型電子顕微鏡で細胞内構造を観察する方法として開発されたOーDーO法(OsmiumーDMSOーOsmium method)を使って,コムギとエンドウの種子を観察し,この観察法が貯蔵物質の蓄積過程を観察するために有効であることを認めた。 5、コムギ稈におけるオリゴフルクタンの含量と組成の登熟にともなう変動を測定し,この物質が光合成産物の一時的貯蔵形態であることを明らかにした。また,オリゴフルクタンの含量と組成は,ソ-ス(葉身)やシンク(穂)の切除によっても変動することを明らかにした。 6、ジャガイモ塊茎を滑走式ミクロト-ムによって連続切片とし,塊茎内における維管束走向とデンプン含量を観察し,両者の間に密接な関係の存在することを明らかにした。 7、登熟中のエンドウ種子を走査型電顕により観察し,子葉柔細胞のageを液胞の消長によって3つの時期にわけることができた。すなわち,初期は組織形成,中期はデンプン蓄積,後期はタンパク蓄積によってそれぞれ特徴づけられる。
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