研究課題/領域番号 |
63440009
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
高木 貞夫 北海道大学, 農学部, 教授 (70001427)
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研究分担者 |
秋元 信一 北海道大学, 農学部, 助手 (30175161)
斎藤 裕 北海道大学, 農学部, 助手 (20142698)
諏訪 正明 北海道大学, 農学部, 助手 (40091467)
久万田 敏夫 北海道大学, 農学部, 助教授 (50001425)
森 樊須 北海道大学, 農学部, 教授 (10001398)
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キーワード | シロカイガラムシ科 / 介殻被覆 / 走査電子鏡観察 / ハダニ / 生活型 / SEMクライオシステム / とも食い / ワックス分泌器官 |
研究概要 |
1。カイガラムシ。観察を国内および国外のシロカイガラムシ科10数種に広げ、分泌物被覆の形成と構造を比較し、対応する分泌器官を検討した。被覆は、基本的には繊維状のワックスにより構成されるが、これは主として管状分泌器官によって分泌される。繊維状ワックスを用いて被覆を形成する方法は種によって異なり、さらに補助的な分泌器官の参加により被覆の構造は多岐なものとなっていることが判明した。これを虫体構造の分類学的な特徴と対照することにより、この多様性の中に虫体保護のための分泌物体としての被覆に適応進化的趨勢を認めることができた。繊維状ワックスはさらに肛門より分泌された物質によって被われ、このため数種の有機溶剤に不溶となる。一方、クロロフォルムなどに容易に溶解する裸のワックスが検出されるが、その出現は被覆の特定の場所に限定され、普遍的ではない。このため被覆は化学的にも侵され難い強靱な保護皮膜となっていることが認められた。 2。ハダニ類。ハダニ類の走査型電子顕微鏡標本の作製方法を新に開発し、殆んど萎縮しない状態で観察することができた。また、平成元年5月〜6月に九州・沖縄地域にて常緑広葉樹および多年生草本に寄生する5属10数種のハダニ類を採集し、それらの生活型の記録をとった。またそれらは走査型電子顕微鏡用の標本として微細構造の観察を行った。その結果、タケスゴモリハダニとして知られていた種に複数の種が含まれていることが判明し、その中から2新種を記載した。一方、特定の生活型をもつ種の行動を詳細に観察したところ、造網性の生活型をもつ種の雄間に激しい敵対行動があることを発見した。この行動が巣網へ侵入した同種雄に対する先住雄による「とも食い」であることをクライオシステムを用いた走査型電子顕微鏡による観察で証明することができた。
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