研究課題/領域番号 |
63440010
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研究種目 |
一般研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
植物保護
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
甲元 啓介 鳥取大学, 農学部, 教授 (80032093)
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研究分担者 |
木村 靖夫 鳥取大学, 農学部, 教授 (10011983)
浜崎 敞 鳥取大学, 農学部, 教授 (40032081)
児玉 基一朗 鳥取大学, 農学部, 助手 (00183343)
尾谷 浩 鳥取大学, 農学部, 教授 (50032305)
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研究期間 (年度) |
1988 – 1990
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キーワード | 宿主特異的毒素 / 宿主識別 / 毒素受容体 / 毒素作用機構 / 感染阻害因子 / 抵抗反応誘導因子 / 受容性誘導 / アルタ-ナリア |
研究概要 |
宿取特異的毒素(HST)依存のアルタ-ナリア病にみられる宿主識別・感染機構を、1)病原菌による信号因子(HST)の放出、2)宿主に特異的に存在あるいは機能する受容体(レセプタ-)による病原信号の選択認識、ついで、3)宿主細胞内における精報伝達に基づく侵入菌受容化体制の醸成という想定図に基づき,分子レベルで解析して、寄生性における基本的和性成立に係わる諸因子を具体的に提示した。まず最初に、動的抵抗要因を分析して、糸状菌胞子発芽液中に放出される抵抗反応誘導因子(Inducer)を単離し、それが 40、000ダルトンの多糖で、低濃度で植物の非特異的防御機構の発現を誘起することを明らかにした。続いて、化学的防御因子として、従来から広く知られている phytoalexinとは抗因性の認められない点で明確に異なる化学物質の介在を証明し、その生物性の特徴から「感染阻害因子、Infectionーinhibiting factor、IIFと略す」と呼称することを提案し、その定義を与えた。次に、受容体制化機構は、"InducerーIIF系"に代表されるような一般的、動的抵抗反応HSTによる宿主特異的抑制・発動停止であることを立証した。さらに、構造未決定であったACT毒素IおよびIIの構造解析の結果は、それが既知のAK,AF両毒素との構造同族体であることを明らかにするとともに、有機化学密度でもって生産菌系の病原性あるいは寄生性を決定する因子の化学基盤を実に見仕事に提示し、宿主識別に関与する病原信号因子としてのHSTの役割を確固たるものにした。また、細胞壊死を伴わない宿主識別因子の化学的実体にも迫った。最後に、毒素作用過程の分析から、感染誘発は宿主細胞の壊死それ自身と無関係におこることを立証し、HSTに依存するAlternria感染を、いわゆるnecrotrphic parasitismとする通説を否定する新説を樹立した。
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