研究課題/領域番号 |
63440013
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
岡野 健 東京大学, 農学部, 教授 (30011927)
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研究分担者 |
吉原 浩 東京大学, 農学部, 助手 (30210751)
三城 昭義 東京大学, 農学部, 助手 (90012004)
太田 正光 東京大学, 農学部, 助教授 (20126006)
磯貝 明 東京大学, 農学部, 助手 (40191879)
空閑 重則 東京大学, 農学部, 助手 (60012051)
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キーワード | セルロ-ス / 結晶構造 / ホヤ / ラミ- / X線回折 / 電子線回折 / マ-セル化 |
研究概要 |
昨年度までの研究によって、天然セルロ-スの結晶には、単斜晶系の他に三斜晶系に属するものがあることが明らかなった。引き続いて検討した結果、三斜晶系の結晶は、常に単斜晶系の結晶と共存していることがわかった。従って三斜晶系の結晶構造解析を進めるには、三斜晶系の結晶だけの試料が得られない現時点では、単斜晶結晶を差し引くしか方法がない。そこで、単斜晶系の結晶だけから成り立っているラミ-並びにホヤのセルロ-スについて研究を進めた。先ず、単斜晶系の結晶構造を決定するための基本的条件を検討した。すなわち、既発表のセルロ-ス結晶の分子鎖はすべて2回らせん軸を持っているので、2回らせん軸を持たない場合の分子鎖形態についても検討した。すなわち、両者のエネルギ-的安定性を比較した。その結果、エネルギ-的な安定性には大差はなく、いずれの形態も可能であることが判明した。 続いて、分子鎖の平行鎖構造と逆平行鎖構造の是非を追求するために、ラミ-セルロ-スのマ-セル化過程を検討した。その結果、アルカリセルロ-スには、煮沸によってセルロ-スIに戻るものと、セルロ-スIIに変態するものとがあり、その量比がアルカリセルロ-ス形成時の物理的環境条件に依って異なってくることが明らかになった。しかし、平行鎖から逆平行鎖への変化機構の核心は明かではない。 ホヤセルロ-スについては、先ず、成長段階の異なるホヤを用意し、個体の特定な位置から皮膜の一部を切り出して、X線回折法によって結晶の分子鎖軸の配向を調べた。その結果、皮膜面内に分子鎖軸がほぼランダムに配向していることがわかった。ただし特定の方向に偏りがあることも判明した。さらに皮膜面に平行にビ-ムを投射して得た写真を解析した結果、結晶の(110)面が皮膜面と平行に存在していることが明らかになり、ホヤセルロ-スもバロニアと同様の面配向を持っているという、興味深い結果が得られた。
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