研究課題
一般研究(A)
4年間の研究成果を以下にまとめる。(1)NMRスペクトルによって大別されたバクテリア・バロニア型セルロ-スとコットン・ラミ-型セルロ-スは、それぞれ3斜晶系と単斜晶系のミックス、単斜晶系であることを電子線回折によって明らかにした。(2)3斜晶系の単位胞は1本のセルロ-ス鎖で構成されていることを初めて示した。従って、セルロ-スIは平行鎖構造であり、バロニアは大単位胞ではないことになり、Honjo & Watanabeの説に替わる新しいモデルが提案された。(3)種子植物間でも、針葉樹材(N材)、広葉樹材(L材)、タケ類などでセルロ-ス結晶の回折強度や格子面間隔に差があることが分かっている。そこでN材17種、L材61種がバクテリア・バロニア型であるかコットン・ラミ-型であるかを半別分析した結果、N材15種、L材7種がバクテリア・バロニア型であった。ところがN材、L材を精製してホロセルロ-スにすると、すべてがコットン・ラミ-型に変わった。しかし、依然として2つのグル-プ間には差異があることが示された。(4)セルロ-スIはマ-セル化によって不可逆的にIIに変態する。膨潤初期のアルカリセルロ-スを種々検討した結果、不可逆性はアルカリ膨潤の過程で起こると推定された。(5)セルロ-ス微結晶を高度に分散させた状態でマ-セル化を行い、電顕、X線回折で調べた結果、X線の変化が生じる処理では、ミクロフィブリルに細かい縦割れや寸断が生じ、ビ-ズ状の粒子が出現するなど、結晶のマクロ形態に大きな変化を生じることが分かった。(6)ホヤなど高度に結晶化しているセルロ-スミクロフィブリルを用いて、磁力線に対するセルロ-スの配向挙動を調べた。その結果、分子鎖軸が磁力線に垂直に配向することが分かった。
すべて その他
すべて 文献書誌 (16件)