研究課題/領域番号 |
63440015
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
石田 祐三郎 京都大学, 農学部, 教授 (20026488)
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研究分担者 |
田中 克 京都大学, 農学部, 助教授 (20155170)
坂口 守彦 京都大学, 農学部, 教授 (00027187)
吉永 郁生 京都大学, 農学部, 助手 (40230776)
左子 芳彦 京都大学, 農学部, 助手 (60153970)
内田 有恒 京都大学, 農学部, 助教授 (50027190)
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キーワード | 異体類の変態機構 / コルチゾル / ヒラメ稚魚 / 渦鞭毛藻Crypthecodinium cohnii / ジメチル・スルフォプロピオン酸(DMSP) / メチオニン脱炭酸酵素 / 遺伝子導入 / プラスミッドpBI121 |
研究概要 |
本研究は有用魚類の稚仔魚の成長・変態・着定の生理生態およびそれに関与する微生物の役割を解明しようとするもので、平成3年度(最終年度)に得られた成果は下記の通りである。 1.内分泌支配による異体類の変態機構は、成体型への体の変換と関連して免疫機能、とくに胸腺機能が低下するなど両性類と多くの点で類似する。ヒラメ仔稚魚を飼育し、発育の進行に伴う胸腺体積を組織学的手法で測定した結果、変態中期に胸腺体積の相対的縮小が確認された。RIA法によって測定した体組織中コルチゾル濃度は変態初期〜中期に著しく上昇した後、変態後期には元のレベルに低下した。ヒラメ稚魚の飼育水中ヘコルチゾルを添加することにより胸腺は顕著に退縮した。以上の結果より、ヒラメの変態においても免疫機能の変化や内分泌系と免疫系の密接な関連が示唆された。2.魚類稚魚の摂餌誘引および成長促進に有効である渦鞭毛藻Crypthecodinium cohniiの生産するジメチル・スルフォプロピオン酸(DMSP)の生合成系を解明した。硫酸からシスティン、シスタチオニンを経て生成されたメチオニンがメチオニン脱炭酸酵素によってメチル・チオプロピオン酸(MTP)となり、さらにメチル化されてDMSPが生成されることを明らかにした。メチオニン脱炭酸酵素は部分精製によってピリドキサ-ルリン酸(PLP)依存性であることが判った。3.藻食性魚介類の餌料であるアオサに成長ホルモンを遺伝子導入するための予備的研究として単細胞緑藻Chlamydomonas reinhardtiiの細胞壁欠損突然変異株CWー15株にカナマイシン耐性遺伝子とGUS遺伝子を持つプラスミッドpBI121を導入した。耐性を示した株はGUS活性が約3倍上昇した。しかし、現在のところ、サザン解析ではNPT II遺伝子は形質転換してDNAに組み込まれていることが確認されたが、GUS遺伝子は検出されていない。
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